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【週刊京都経済特約】“創業経験者”の指導でベンチャー立ち上げ--京大生が出店無料の仮想商店街、若手の間で新人脈誕生

1999年11月08日 00時00分更新

文● 週刊京都経済

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京都大学3回生の学生起業家が、京都と東京の若手メンター(創業指導者)の支援を得て、新しいインターネットベンチャーを立ち上げることになった。この学生は「出店料無料の仮想商店街」を構想している田崎泰如さん(21)で、やはりインターネットベンチャーで先輩にあたる甲斐真樹・ドラゴンフィールド社長らが新会社に出資するとともに経営指導や事業化協力を行う。ベンチャー企業が立ち上がるためには資金以外に知恵や心構えを指導する立場の人材が不可欠とされるが、京都のインターネットビジネスの分野でそうした人脈が生まれてきたことは注目される。

近くショプラスを立ち上げる田崎さん(左京区田中の自宅兼オフィスで)
近くショプラスを立ち上げる田崎さん(左京区田中の自宅兼オフィスで)



田崎さんが設立するのは「有限会社ショプラス」。本社は京都市左京区田中に置き、資本金300万円のうち田崎さんが50%、甲斐さんが関連するイー・エージェンシー(本社東京、甲斐真樹・門田威一郎両代表取締役)とドラゴン・フィールド(本社京都市下京区中堂寺、社長同)がそれぞれ25%ずつ出資する。

ショプラスはインターネット上で雑貨やソフトウエアなどを販売しようとする個人や小規模な通販事業者が特別なノウハウ不要で、無料で出店できる“仮想商店街”を開設する。数千の事業者を集めることでホームページの視聴率を上げ、広告収入を得る。このほかに出店する事業者への販売コンサルティングも収入源にしていく。

ショプラスの事業は「アプリケーション・サーバー・プロバイダー」と呼ばれる業態で、高い機能性を持ったレンタルサーバーを提供するビジネスだ。ただし、利用者からは直接費用を受け取らず、参加者を増やすことで広告収入を期待する点が大きな特徴だ。

10月26日に仮オープン、11月初旬に本格的にスタートさせる。年内に1000店舗の出店を見込む。これまでに携帯電話や雑貨、生鮮魚介類、コーヒー豆、コンピューターなどの通販事業者が登録したという。

将来的には、利用する仮想店舗での代金決済や、扱い商品に対する商品保険などの取り扱いも検討している。

田崎さんは福岡市出身の京大総合人間学部3回生。「入学前から起業志向があった」というが、京大生の先輩が設立したシステム開発会社を引き継いだのがきっかけで事業に携わることになった。現在、京大の情報工学科の学生らをアルバイトで採用し、百万遍(東大路今出川)に近い古い木造家屋を借りた自宅兼オフィスでこのシステム会社を運営している。

ショプラスを立ち上げるに当たって、インターネットビジネスの先輩に当たる甲斐さんに相談。インターネットを使ったプロモーションを手がけるイー・エージェンシーとサーチエンジンやメールマガジンを扱うドラゴンフィールドとの間でコンソーシアムを組めることが分かったことから、合弁で事業を立ち上げることになった。

甲斐さんは29歳。同志社大学卒後94年に、国内で最初の独立系サーチエンジン(検索サービス事業者)となった「ジャパンサーチエンジン」を設立した。その後、98年に東京でインターネットビジネスを手がけていた門田さんと事業を共同化することにし、それぞれの会社を合併してイー・エージェンシーを設立した。イー・エージェンシーは米オンライン広告第2位の24/7メディア(Nasdaq上場)の日本法人を合弁で設立し、インターネット広告の分野で事業展開を図っている。

*記事の転載にあたっては、外来語の表記など用字用語の一部のみをASCII24の表記に合わせて書き換えた。その他はすべて原文のまま。

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