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【デジタル・パブリッシング・ウォッチ】Vol.003 JPCが6年目に突入。“JPCリポート 1999”を報告

1999年10月15日 00時00分更新

文● text by 千葉英寿

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14日、第6期を迎えたJPC(Japan Publishing Consortium)は、定例の“JPCセミナー”に引き続き“第6期通常総会”をアップルコンピュータ(株)の本社セミナールームにおいて開催した。総会では、調査部会による“JPCアンケート”の調査結果の報告があった。総会後には、“JPC懇親パーティ”も開かれた。

ユーザーとベンダーを結ぶJPC

ここ数年の間、パーソナルコンピューターの普及に伴って、あらゆる業界でさまざまな業界団体が結成されている。JPCはデジタルによるパブリッシング(印刷、出版、各種メディア)の世界において、ユーザーとベンダーとが情報を交換し、ともに問題点を解決するための場。コンピューターシステムおよび情報技術の高度化を踏まえ、現在の混沌としたDTP(デスクトップパブリッシング)の市場と文化の成長を支援することを目的とした非営利の任意団体だ。 当時、米国Apple Computer社のCEOだったマイケル・スピンドラー氏の発案により、“WWPC(World Wide Publishing Consortium)”が米国で設立された。これを受けて日本のユーザーから「日本にもWWPCを」との声が上がり、ユーザーを中心に関連ベンダー各社の協力を得て、'94年8月に設立されたのがJPCである。 活動内容としては、“1ベンダーでは解決できない共通の問題の討議”、“DTP市場の拡大と発展のための最低限の標準化”、“人材育成のための基盤づくり”があるが、ここ数年その活動では、各部会が主催する定例セミナーの開催と各部会による技術ガイドなどの制作が中心となっている。

デザイナーは90パーセント以上がDTP化、編集・出版はやはりまだまだ

“次世代RIPの新機能を検証する”をテーマに行なわれた“JPCセミナー”に続き、“第6期通常総会”が開かれた。総会では、まず最初に理事長の猪股裕一氏(エムディエヌコーポレーション)が登壇し、挨拶した。 猪股理事長は、「第6期の方向として、既存の6つの各部会にプラスして、教育部会を設置していきたい」とし、さらに「全体の部会の見直し、統廃合も含めて有機的な動きができるように検討し、11月の“Seybold Seminar Tokyo”までには結論を出したい」と語った。また、「当初から理事にはクリエイターの方も多いが、これまではそうした方々の声があまり生かされてこなかったので、今後はその辺の声を生かしていきたい」と語った 引き続き、7月に調査した“JPCリポート 1999”について猪股理事長がサマリー報告を行ない、各分野ごとの傾向を報告した。

JPCリポートの報告を行う猪股裕一理事長
JPCリポートの報告を行う猪股裕一理事長



デザイン分野ではコンピューターが圧倒的に使われており、90パーセント以上のDTP化が済んでいる。デザイン分野での調査は、JAGDA(社団法人グラフィックデザイナー協会)の所属事業者を対象に行なわれており、猪股理事長は「JAGDAの会員はいわゆる“先生クラス”のデザイナーばかりで、どうしてもDTPを使わなくても大丈夫な人たちなのだが、それでもこれだけの人が使っている」と指摘した。これに対して、編集・出版分野でのDTP化率は54パーセントとなっており、依然、出版社の導入が進んでいないことが明確になった。DTP未導入の理由としては、「出版コストにさほど影響しない」という意見が多くを占めていた。 出力ショップ分野の傾向としては、売上高の減少など業績が思わしくない。猪股理事長は「今後、CTPに移り変わっていくにあたって、出力ショップの今後を考えなければならない」と語った。印刷・製版分野は、比較的小規模な印刷事業者を中心に構成されるJAGRA(日本グラフィックサービス協会)のサンプルに依存するところが大きく、大手・中規模の業者は入っていないことから、信頼性に欠く調査結果となった。猪股理事長は「もう少し中・大規模を対象として調査をやっていきたい」と語った。 また、全体の傾向として、最新アプリケーションのバージョンアップ率が低迷していることや、使用OSについては、Windowsが増えており、Mac OSは数字面では減っているという傾向が見られた。 続いて副理事の森山隆次氏(プレゼンハウス・トゥー)による収支報告と副理事の森脇明夫氏(アドビシステムズ)による各部会の活動報告があった。   今期の各部会の活動としては、カラーマネージメント部会による『カラーマネージメント用語辞典』の編纂(へんさん)、出力ショップ部会による『マルチプラットフォーム手引書』の編纂、といった制作の検討課題が上がった。また、PDF部会では、PDFによるコンテンツのコンテストや学校新聞のコンテストの開催が提案された。プリントオンデマンド部会は、2000年4月に行なわれる”OnDemand Printhing Show in Tokyo 2000”(CAP-V社主催)の協賛協力としての参加が提案された。

懇親パーティーでは『iMac DV Special Edition』の抽選会も

総会終了後、場所を東京キャピタルクラブ(神宮前)に移して、JPC懇親パーティーが開催された。 パーティーは、会長の原田永幸氏(アップルコンピュータ)の挨拶から始まった。原田会長は「まず、残念な話を2つしなければなりません。1つは、iMacが“1999年グッドデザイン賞”(主催:財団法人日本産業デザイン振興会)で大賞を逃して、金賞となりました。大賞はアイボでした。ですが、私はデザインはiMacが1番だと信じています」と語った。  

会長の原田永幸氏(アップルコンピュータ)
会長の原田永幸氏(アップルコンピュータ)



もう1つの残念な話として、G4チップがダウングレードになったことを公表し、「ダウングレードしても、ユーザーに早急にご提供するのが先決だと判断しました」と語った。また、プロフェッショナル・パブリッシングのマーケットに対し「スティーブジョブスをも巻き込んで、特に日本でのパブリッシングへ強くコミットしていきます。G4の売り上げとともにサポートも強化していきます」と語った。   その後、アップルコンピュータから『iMac DV Special Edition』、アドビシステムズから『Adobe Web Collection』のプレゼントの抽選が行なわれ、終始なごやかな雰囲気の中、ユーザー、ベンダーのかわりなく、有意義な歓談があちこちでもたれていた。

ユーザー理事の空閑明氏(共同印刷)が乾杯の音頭をとった
ユーザー理事の空閑明氏(共同印刷)が乾杯の音頭をとった



『iMac DV Special Edition』が当選した畑野耕平氏(ハイパーダックス)と原田会長。「ウチ(ハイパーダックス)ではiMacは扱えないので、うれしいですね」と畑野氏
『iMac DV Special Edition』が当選した畑野耕平氏(ハイパーダックス)と原田会長。「ウチ(ハイパーダックス)ではiMacは扱えないので、うれしいですね」と畑野氏

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