マイクロソフト(株)は、組み込み用OS『Microsoft Windows NT Embedded 4.0』日本語版(以下:NT
Embedded)の概要について紹介するセミナー“Microsoft WindowsNT Embedded
Conference”を開催した。
NT Embeddedは、Windows NT Server/Workstation 4.0にSP5を追加し、組み込み向けの機能を拡張したもの。Windows
CEがデジタルカメラやPCコンパニオン、POSなど小型デバイス向けであるのに対し、NT
Embeddedは、従来NTを利用した組み込み製品の代替として、プリンターやコピー機、電話交換機などに利用できるという。
NT Embeddedは、TCP/IP、RASなどのネットワーク機能やセキュリティー機能を搭載するほか、SMPやWin32
APIのサポート、COM/DCOM対応などがなされている。さらに、NTと同じWin32環境であるため、Visual
BasicやVisual C++など、NTと同じ開発環境でアプリケーションを作成できるほか、NTがサポートする周辺機器デバイスに対応する。
また、組み込みターゲットデザイン用オーサリングツール『Target
Designer』、および『Component Designer』が用意されている。Target Designerは、Windows
NT/カスタムアプリケーションのビルドを行ない、Runtimeイメージを作成するもので、簡易カスタムアプリケーションの組み込みに利用できる。Component
Designerは、カスタムアプリケーションの組み込みに必要なComponent
Definition Fileを作成するツール。
組み込み向け機能の拡張として、キーボードやマウス、ディスプレーが不要になるHeadlessサポート、CD-ROMからOSが起動できるRead-Only
Bootサポートなどが挙げられる。Page Fileを0(no page file)から512MBまで設定できるほか、“WMI(Windows
Management Instrumentation)”により、デバイスドライバーの制御/監視が可能になった。メモリーカードデバイスにも対応し、各種メモリーカードからOSが起動できる。そのほか、リモートマネジメント機能を搭載し、リアルタイムOSもサポートする。
同社は、主要ターゲットとして、プログラマブルコントローラー、FAパソコン、パネルコンピューター、制御用パソコンコントローラー、ベンディングマシン、POS端末、OAマシンなどを挙げている。NT
Embeddedの製品版は、10月末にOEMや代理店向けに提供される。
NT Embeddedの市場動向について、(株)富士経済の沢秀幸氏は「NT Embeddedは、量産向けではない用途の製品から採用されるだろうが、さまざまなメーカーが少しずつ導入していくことで、結果的に市場が広がっていくだろう」と分析している。