このページの本文へ

レーザーファイブ、米Red Hat Software社とのパートナー契約打ち切りについて会見

1999年09月01日 00時00分更新

文● 編集部 桑本美鈴

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

レーザーファイブ(株)は、8月26日に発表した米Red Hat Software社とのパートナー契約打ち切りについて、会見を行なった。



同社代表取締役の窪田敏之氏は、契約打ち切りに至るまでの経緯について、次のように説明した。

レーザーファイブ(株)代表取締役の窪田敏之氏
レーザーファイブ(株)代表取締役の窪田敏之氏



「2月頃、ボブ・ヤング(Red Hat Software社CEO兼会長)とメール交換しながら、日本法人を設立したいねという話をしていたのだが、3月の“LinuxWorld Conference Japan'99”開催時にボブ・ヤングが来日した際、日本のLinux市場が盛り上がっていたのを見て、考えを変えたようだ」

「その後、Red Hatは、マシュー・ズーリックという人物を社長として雇い、国際事業戦略に関してはマシューが行なうので、マシューと直接話してくれということで、彼に手紙を送ったが、2ヵ月間返事が来なかった」

「続いて、COOとしてティム・バークリーなる人物が入ったから、彼と話してくれと言われたが、話がまったくかみ合わない。そして、もう1度日本のストラクチャーを考え直したいと言われた」

「さらにその後、コンサルタント会社のエージェントが介入。そのエージェントが、さまざまな日本企業に対し、Red Hatの日本での権利を買わないかと言い始めた。結局その話はうまくいかなかったが、今度は突然、100パーセント子会社を設立したいと言い出したのだ」

「そして8月24日にパートナー契約の打ち切り通告が届いた。通知をもらった時点で、われわれが資本参加をするといった提案を行なったのだが断られた。自分たちですべてやりたいという意志の表われだろう」

「『redhat Linux』は、いいLinuxだが、改良したほうがいい部分もある。しかしRed Hatは提案を受け入れてくれないので、自分たちでやるしかないと思い、『LASER5 Linux 6.0』を開発、発売することにした」――。

レーザーファイブ(株)は、(株)五橋研究所の全額出資で、8月31日に設立された。五橋研究所のOS事業部業務をすべて引き継ぎ、LASER5 Linuxのプロモーション、およびLASER5 LinuxやredHat Linuxのサポートを行なう。また、他のオープンソースビジネスや、オープンソースコミュニティーの支援も予定しているという。

レーザーファイブでは、『redhat Linux 6.0』に99パーセントコンパチブルなLinux OSの『LASER5 Linux 6.0』(1万2800円)、および廉価版の『LASER5 Linux 6.0 日本語入力キット』(6800円)を、9月17日に発売する。また同時に、雑誌や書籍などの付録CD-ROMに収録できるフリー版も提供する。また、Alpha版の『LASER5 Linux for Alpha』を10月上旬に発売する。Alpha版の詳細については後日発表する予定としている。

中央が『LASER5 Linux 6.0』パッケージ。デザインには、“Linuxは世界の財産”という意味が含まれているという
中央が『LASER5 Linux 6.0』パッケージ。デザインには、“Linuxは世界の財産”という意味が含まれているという



店頭で売られている既存製品については、パートナー契約に従い、8月24日以後180日間は販売できるため、そのまま店頭で購入できるという。

ascii24では、フリーランスライター/『月刊Linux Japan』編集長の風穴江氏に、今回の顛末について話を聞いた。

「たとえば、もしLinuxというOSがRed Hat Software社からしか入手できないものだったとすれば、今回のようなことは、ユーザーにとっても、それでビジネスをする企業にとっても影響が大きく、憂慮すべき問題ということになるだろう。しかし、幸いなことにLinuxは、Red Hat Software社以外のさまざまなところから、さまざまな形で入手できる。それゆえ、今回の件は本質的には大した問題ではないと思う」

「店頭でいろいろなLinuxパッケージが並んでいる中で、Red Hat Linuxの赤い帽子マークにある種のブランドイメージを感じる人はいるかもしれない。だが、Red Hat Linuxが並んでいないからといって、Linuxの導入をためらうという人はあまりいないはずだ」

「ユーザーは、メーカーの戦略やブランドなどに囚われず、自由に、自分の目的に適った“Linux”を選択すればいい。“自分の選択ができる”ということこそが、Linuxの本当の価値なのだから」(談)

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン