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リアライス社、シリコンウエハーの汚染対策セミナーを開催

1999年07月27日 00時00分更新

文● 浅野純一

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23日、(株)リアライス社が主催、エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ(NTT-AT)(株)が共催するセミナー“ULSI製造における汚染対策シリーズ第1弾 シリコンウエハー、輸送、搬送、洗浄プロセスでの汚染対策」が東京神田の化学会館で開催された。

シリコンウエハーは、マイクロプロセッサーやメモリーなどの大規模な集積回路(ULSI)の製造に欠かすことができないキーマテリアル。

ULSIの中にあるチップは、直径20cm(今後大型化が進み30cmのものも登場しつつある)の円板であるシリコンウエハーから切り出されたものであることはご存じのとおり。このウエハーのクリーン度はチップ自体のパフォーマンスを左右するだけでなく、製造時の歩留まりにも大きく影響を与える。このセミナーではウエハーが製造され、工場内を搬送、実際のチップを製造するデバイスメーカーへ輸送、そしてそれぞれの段階での洗浄といった各プロセスにおける汚染に対する対策を検討するもの。

最初の講師は、東京理科大学の高野教授。シリコンウエハーは、直径20cmの円柱型のシリコンインゴットを切り出したものだが、インゴットは通常引き上げ式と呼ばれる方法で結晶を成長させて作り出す。その際の引き上げ速度や不純物の混入、ウエハー表面に不着するさまざまな物質など、複雑な製造過程で生じる汚染について実際のデータを示しながら話を進めた。2番目の講師はウエハー製造メーカーである住友金属工業(株)の堀江氏。ウエハーを出荷・納入するときに使用する収納ボックスや保存条件と汚染の関係を示すデータを紹介した。3番目は日本電気(株)の辻氏。ウエハー洗浄時の状態や、新しい洗浄方法について話をした。4番目は洗浄装置を製造する大日本スクリーン製造(株)の村岡氏。実際の製品を紹介しつつ、そのメリットデメリットを話した。

実際にこうした技術や研究がユーザーの目に触れることはないが、実際の価格に大きく関わってくることは言うまでもない。いかにクリーンなクリーンルームを実現するかだけでなく、ウエハーをどんな素材のボックスに入れるかとか、洗浄したウエハーの乾燥方法、洗い方といったキメ細かな工夫がなされてはじめて高品質なウエハーが製造できるというわけだ。日本は半導体製造装置で世界をリードしているが、その影にはこうした努力が隠されているのだ。

ちなみにセミナーを主催したリアライス社は広く技術に関する情報を扱う会社。なお、この汚染対策セミナーはシリーズ化されており、今後も開催される予定だ。

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