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“Windows CEコンソーシアム”がWindows CEの適用事例セミナーを開催

1999年07月23日 00時00分更新

文● 編集部 佐々木千之

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*“Windows CEコンソーシアム”は23日、Windows CEの適用事例に関してのセミナーを開催し、イースト(株)“Windows CE辞書ソフトDTONIC”、クラリオン(株)“AutoPC開発環境Toolおよび開発周辺機器紹介”、(株)日立製作所“日立のハンドヘルドPCとその適用事例”、という3つの講演が行なわれた。

*Windows CEコンソーシアム:Windows対応アプリケーションに関する開発と普及を目的とした“Windowsコンソーシアム”の内部コンソーシアムで、Windows CEプラットフォームに関するアプリケーション開発と普及を目的とする業界団体。

Windows CE辞書ソフトDTONIC



最初の講演として、イースト(株)取締役、コミュニケーション事業部部長の下川和男氏による、同社のWindows CEに対応した辞書検索ソフト『DTONIC』の概要とコンセプト紹介が行なわれた。

DTONICのPalm-size PC対応版の画面
DTONICのPalm-size PC対応版の画面



DTONICは'95年に開発したソフトウェアで、現在Windows 9x/NT 4.0、MacOS、Windows CE H/PC、Windows CE Palm-size PCで稼動している。DTONICは、画面上の任意の単語をマウスドラッグで選択し、タスクトレーのアイコンをクリックするだけで検索できる“Hot Key検索”、DTONIC形式の辞書を追加することで複数の辞書を一度に検索可能、辞書にURLデータを持たせることで、インターネットへの参照リンクなどが可能、といった特徴を持つ。

Windows CE用としては、フットプリントを重視し、H/PC版のプログラムサイズが約800KB(インターネット検索機能なし。ありの場合は約1.3MB)、Palm-size PC版では約68KBとなっている。ただし、Palm-size PC版はH/PC版とはまったく別のプログラムで、表示機能もサブセット仕様となっている。Windows CEハードウェアメーカーへの提供については、三省堂、岩波書店、研究社、朝日新聞社など各社の出版社との交渉が可能という。辞書データサイズは、三省堂の『デイリーコンサイス英和・和英・国語辞典』で4.6MB+4.0MB+6.2MB、イーストが提供する『EAST ID英和・和英辞典』で2.0MB+1.2MBなどとなっている。

ハードウェアメーカー向けの販売条件としては、納期が受注後2ヵ月以内、初回コミット本数5000本などとなっている。今後の販売展開として、セットトップボックスへの対応を計画中であることなどが紹介された。

AutoPC開発環境Toolおよび開発周辺機器紹介



次にクラリオンAutoPC開発部部長の中鉢善樹氏が、現在米国で発売中の車載用Windows CEコンピューター『AutoPC』の開発環境などについて講演した。

はじめに、車用コンピューターについては、世界的に動きが活発になっており、インターフェースやハードウェア/ソフトウェアの標準化を目指すAMIC(Automotive Multimedia Interface Consortium)が、トヨタやGM、フォード、ダイムラークライスラー、ルノーなどによって昨年10月に設立されたことや、国内でも自動車メーカー各社がITC(Intelligent Traffic System)への対応を具体化しつつあることなどが紹介された。

AutoPCアプリケーション開発システム
AutoPCアプリケーション開発システム



その後、AutoPCの機能、および開発システムの紹介が行なわれた。その中で、車載用ということで、振動への対応からCD-ROMドライブが2倍速であることや、USBのコネクターが12Vを供給可能な、8ピンで抜け落ち防止機構つきであることが紹介された。また、運転者が運転そのものに集中できるよう、音声認識システムに力が入れられており、音声によるAutoPC操作のインターフェースが、極力画面を見ることなく行なわれる仕組みになっているという。これについては、ビデオによるデモンストレーションが行なわれ、来場者の関心を集めていた。開発システムについては、ソフトウェアアプリケーションであれば、実機を使わなくてもソフトウェアによるSDKのみで可能であるといった説明がなされていた。

日立のハンドヘルドPCとその適用事例



今回のセミナーのトリとなったのは、日立製作所デジタルメディアグループ、オフィス情報機器事業部商品企画部主任技師の大川修治氏。同社のH/PC『PERSONA』シリーズの提供事例や今後の展開についての報告がされた。

まずモバイル市場についてH/PCの需要予測(同社予測)が紹介されたが、それによると昨年の市場規模は日本が20万台、アメリカが60万台で、2002年には日本が140万台、アメリカが210万台、世界全体で450万台になるという。昨年春から販売しているPERSONAの最近の動向としては、『ATOK POCKET for Windows CE』と『PostPet for CE』を搭載して先ごろ発売された『HPW-30PA』が好調。特に30代前半までの女性 ユーザーが増加しているという。また、今までの男性中心の製品の売れ方と違い、購入する女性は、「安い店を探したりせず、駅前の店で購入する」という、興味深いデータが紹介された。

また、日立製作所ではPERSONAの業務向け販売に力を入れているが、受注し成約した例として、医薬品卸業の営業向けのシステムが紹介された。医薬品卸業界では、来年の薬価改定に向け、営業が5万点に及ぶ薬品類の価格データを持ち運ぶ必要があり、そこでPERSONAが採用されているのだという。採用にあたっては、他社の製品と比較されるわけだが、そこでは「検索スピードの速さがすべてで、デザインや色などはほとんど考慮対象ではない」ということであった。また、人材派遣業の勤休報告用に、昨年6000台を納入したことも紹介された。こういった用途では、Windowsパソコンでも同様なことができるわけだが、10万円を切るという価格が勝負になるという。Windowsノートでシステムを組むと20万円近くかかる(6000台なら、差額は全体で6億円)ため、導入企業の「システム担当者も、割り切って導入を決める」といった例も紹介された。

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