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スクールズオンライン・ジャパンが活動開始 子供たちにインターネットのおもしろさを

1998年11月04日 00時00分更新

文● 報道局 横田雅美

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 10月1日に設立されたスクールズオンライン・ジャパン(SOJ)が、11月末から活動を開始する。米国で96年、シリコンバレーのプラネットWeb社ほか数社の社長を務めるKamran Elahian氏によって、スクールズオンライン(非営利団体=NPO)が発足した。同NPO(Non Profit Organization)団体は、インターネットで世界中の子供たちをひとつにしたいという目的で作られたもの。SOJが11月末から行なう活動はパイロットステージとされ、兵庫県姫路市荒川小学校、兵庫県神埼群香寺町立中寺小学校、兵庫県龍野市立揖保小学校の3校からインターネットがはじまる。

 この3校が選ばれた理由としてはまず、関西電力系の通信事業者である大阪メディアポート(株)が出資者であることが大きい。SOJでは同社のWCN回線(大阪メディアポート独自の光ファイバー網)を利用するため、その回線が行き届く範囲内である必要があった。そして、SOJが兵庫県尼崎市にあること。この地域にはボランティアが多く、PTAの協力も得られやすいというメリットがあったことも一つの理由であったという。

 12月にはセカンドステージとして30校を公募し、来年度末までには関西地域を中心に200ヵ所の設置を目指している。だが現段階では関西地区のインフラ整備をするにとどまり、大阪メディアポートのような具体的な協賛企業が全国にはまだないという。

 同団体の代表である榊原淳氏は、文部省が2003年に全国の小中学校へインターネット網の整備を計画していることに対し、待っている間にも世界はどんどん進化して日本はついていけなくなると語っている。たとえ文部省の計画が2000年に前倒しになったとしても、インターネットが浸透するまでの時間を考えたら、1年でも待ちたくないとのことだ。

 SOJでは、新しい試みとして“子供用検索エンジン”を作っている。この検索エンジンの特徴は、子供が理解できる程度の日本語(ひらがな、カタカナ)をキーワードに世界のサイトが探せること。例えば“くりんとん”と入れるだけでクリントン米大統領の関連サイトに飛ぶという。これからは、英語のサイトを日本語に要約するシステムの導入を予定しており、資金面のスポンサーを探している。このようなコンテンツ面では、SOJの代表である榊原氏が同じく代表を務める(株)メディアフュージョンが中心となって、開発、提供していく予定だという。

 大阪メディアポートは関西電力系の情報通信企業で、SOJの計画に2年間無償でインターネット網を提供する。1校あたりのインターネット利用料が、月額でおよそ20万円。2年間で約480万円を各小学校に費やすことになる。そのため、200校を対象にする場合には10億円という莫大な資金が必要になると予想される。

 高知県では11月1日、教育委員会が中心となって「ドリームネットディ」と題したインターネット接続イベントがに行なわれた。高知県にあるNTT系の情報通信企業(株)NTTテレコムエンジニアリングが協力し、47校に317台の中古ノートパソコンを配布。マイクロソフト(株)が同社の『Windows 98』を565校に無償で提供した。11月1日当日は800人のボランティアが各校に向かい、接続を手伝った。高知県の場合、教育委員会でインターネット整備計画が2年前から立っていたものの、やはり資金面で実行が難しかったという。

 こう考えていくと、SOJの全国展開には大阪メディアポート以外のネットワークプロバイダーだけでなく、ハードやソフトを提供してくれる企業が必要になってくる。そのためには、文部省の重い腰を上げさせ、助成金の補助を受けるなどのステップがキーになるのではないだろうか。

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