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【Key Word Survey】「ベンダー資格」

1998年09月03日 00時00分更新

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 情報処理産業界は、金融や建設などと違いいわゆる「規制」の少ない業界である。それは、誰でも自由に参加できる、外資系が入りやすいといった長所の一方、納入したハードウェアやソフトウェアなどのシステムについての製品規格や合格基準が曖昧といった短所もある。そのために、コンピュータシステムを導入するときは、導入したシステムの品質保証と、故障があった場合に責任を持ってもらうため、メーカー名やグループの企業名などの信頼を一つの基準にするしかなかった。ところが最近では、その企業名の看板で仕事が受注できなくなってきたのである。

 今やIT(情報技術)は企業にとってなくてはならないものである。その基盤となるコンピュータやネットワークシステムに万が一間違いがあったり、手抜きや故障が生じたりすると、企業に致命的なダメージを与えることになる。そのために、システムを導入する際には完璧を目指す。ところが、導入するシステムの多くがイントラネットなどを含むため、デファクトスタンダード(業界標準)と呼ばれるシステムが混ざる。システムに間違いがないようにするためには、導入する製品に精通した技術者が不可欠だ。では、製品に精通した技術者とはどのような基準で見分ければいいのだろうか? それが「ベンダー資格」を取得した人材ということになる。

 2~3年ほど前からデファクトスタンダード製品のベンダー各社が、競って技術者認定制度を実施しはじめた。「自社の製品をより深く理解し、それを使用して商品を開発したり、ユーザーに提供できるような製品知識や技術力を評価する」というもので、実務に直結した資格である。マイクロソフト社のMCP、ノベル社のCNE、ロータス社のCLP、オラクル社のOracleMaster、シスコシステムズ社のCCCP、サンマイクロシステムズのJAVA認定、IBMの技術者認定制度などである。

 これらの認定試験はワールドワイドで実施されていて、合格すると世界共通の資格となる。また、試験はコンピュータで実施されるために、毎日いつでも受験でき、合格もその場で判明する。さらに、製品のバージョンアップなどに伴って、有効期限が設けられている。ここがすごい。マイクロソフト社のMCPは1993年の開始からこの夏までで、全世界25万人(うち国内2万5千人以上)が取得した。一方の情報処理技術者試験は、1993年の改訂から昨年度までで15万人。

 今では、見積書や入札資料に、情報処理技術者といっしょにベンダー資格取得者の人数を書き入れることが当たり前となっている。国内最大手の情報通信サービス企業にあっても、1年間で1000人もの資格取得者を生み、今年は200%増の3000人を目指しているときく。また、外資系企業の進出により、そこで求める技術者に世界共通であるベンダー資格の取得者を要求するところも多い。

 「ベンダー資格」は、技術者がこの厳しい時代を生き抜くために、責任ある仕事をこなすという自分の技術力を示す一つの指標となりつつあることは確かだ。

高橋尚子(たかはし なおこ)氏プロフィール

東京女子大在学中にマイコンサークルMOVEを設立。社会に出てからはSEとして、数々のシステム構築に携わる。現在、ナウハウス(有)代表。ソフトウェアコンサルティングやテクニカルライティングで活躍する一方、國學院大学経済学部講師としてソフトウェア教育にも力を注いでいる。

この記事は、「Focussed Series」からもアクセスできます。多彩な筆者の寄稿を収録中です。

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