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【Contents Survey】ホームページの商業化に成功した『マピオン』

1998年08月11日 00時00分更新

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 大量の情報を整理するためには、データベースという道具が有効である。

 データベース上で、情報の整理の仕方、インデックスの付け方にはさまざまな方法が提案されており、wwwのハイパーテキスト、ハイパーリンク構造も情報整理の有効な手段である。しかし、wwwの持つデータベース機能を有効に使っている例は多いとはいえない。

 ここで紹介する、『マピオン』は、商業情報(店舗情報) の検索を地図を使って行なうwebサイトであり、webのデータベースとしての機能をうまく使った例である。

 知りたい店舗、探している店舗を地図上でクリックすることにより掲載されている情報を見ることができる。すなわち地図をインデックスにし、地図上の座標と店舗情報をハイパーリンクしたデータベースである。

  『マピオン』で注目すべきは、
 1.日本全国の詳細な大縮尺地図を用意したこと
 2.のwwwのホームページを見る価値のある広告メディアにし、ホームページの商業化に成功したこと
--であろう。

 「1.」により、『マピオン』は純粋な地図帳として機能し、外出時の道順の確認、旅行計画時の見どころの確認などに十分な威力を発揮する。サイト内の地図は、正確な縮尺で作られ、デフォルメされたものではない。

 「2.」により、従来の有料情報の提供、バナー広告、サイバーモールによる有料サーバ提供など、いまいち限られていた、ホームページの商業化に新しい地平を切り開いたことだろう。

 これは見方によっては、日本全土をサイバーモール化したとも言える。従来あまり振るわなかったサイバーモールが、「マピオン」では広告メディアとして、また一種の検索エンジンとして機能し、多くのアクセスを獲得している。現状、200万ヒット/日の平均アクセスがあるという。

 地図上には43万件のランドマークが記入され、商業店舗情報も1万5000件以上登録されている。利用者の多くは、会社からアクセスしアフター5のスケジューリング等に活用しているという。

 また、地図上の文字情報はすべて検索することが可能で、店舗名などから地図上の座標を特定することも可能である。 提供されている情報は、まだまだ十分とはいえないが今後増えて行くことが予想される。

 以上は、利用者側からの見方である。一方、事業者にとっても、1年間2万円で地図上に自社の所在名称が記載され、自社情報を載せることができ、自社サイトへのリンクが張ることができるのは、コストパフォーマンスの高い、インターネットの活用法といえるだろう。

 今後の課題として、掲載情報、地図情報のメンテナンスがどこまで細かくできるか、地区により、ヒット数により、掲載料に差を付けなくてもよいのか、などいくつかが考えられる。それにしても、wwwと地図の持つデータベースとしての特性をうまく組み合わせたこのサイトは十分に注目に値する。『マピオン』は(株)サイバーマップジャパンが主催し、(株)サイバーマップジャパンは、凸版印刷、NTT、電通が出資している。サイト内の地図は国土法に基づき凸版印刷が作成したもので、十分に高い精度を持ったものである。

・マピオン
http://www.mapion.co.jp/

ををつか屋プロフィール

 海洋学、海洋物理学を学び、海洋計測器メーカーでハードウェア開発に従事し、広告代理店でデータベースマーケティングを行い、現在は独立し、コンピュータ関連の知識コンサルタントとして開業。その実態は、海と空と風を愛する気球乗り。

この記事は、「Focussed Series」からもアクセスできます。多彩な筆者の寄稿を収録中です。

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