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【COMDEX/Japan'98】元アップルCEOのジョン・スカリー氏が基調講演

1998年04月07日 00時00分更新

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 現在開催中の“COMDEX/Japan'98”で、元米アップルコンピュータ社CEOのジョン・スカリー氏が基調講演を行なった。有名人の登場とあって、講演会場は開場30分前から行列ができるほどの盛況だった。しかし、今回の講演は、同氏が現在会長を務める米ライブピクチャー社の新製品の紹介だけだったこともあり、聴衆にとってはやや期待はずれの内容だった。



 同氏が紹介したのは、フランスの数学者がアイデアを出し、同社と米イーストマン・コダック社などが共同開発して仕様を公開した“Flash Pix”という画像フォーマットと、それを使用した製品群。“Flash Pix”とは、画像の表示サイズに応じて解像度を変更することができ、また、表示に必要な部分だけを読み出して表示することもできる、Web上での使用に適した画像フォーマットである。

 また、デジタルカメラでとった周囲360度のバラバラの写真から、全方向にスクロールできる画像を作成するソフト『Photo Vista』も紹介した。通常のデジタル画像だけでなく、Flash Pixフォーマットの画像データからもスクロール画像を作成できる。同ソフトは、米アップルコンピュータ社でQuick Timeを開発したErick Chang氏が、米ライブピクチャー社で作ったものだという。

 Flash Pixフォーマットの画像データや、『Photo Vista』で作成したスクロールできる画像、あるいは3DCG、音楽、動画などを組み合わせて、Webコンテンツを作成できるソフトが『Reality Studio』、これを配信するためのサーバー用ソフトが『Live Picture Image Server』である。

 基調講演後の記者会見で、同社の日本法人であるライブピクチャージャパン(株)は、『Reality Studio』(価格12万8000円)を6月に出荷開始、また、すでに9万8000円のスタンダード版を発売している『Live Picture Image Server』は、5月にエンタープライズ版を発売すると発表した。



 ジョン・スカリー氏への質疑は以下のとおり

----ライブピクチャーという会社やFlash Pixなどの技術は、アップルにいたころから知っていたのか?

 「私がフランスにあったライブピクチャーという会社を知ったのは、アップルのCEOを退任してからだ。すばらしい技術だと確信したので、アップルに採用するように勧めたが、彼らは相手にしなかった。私は、この5年間のライブピクチャーのスタッフがあげた成果に満足している」

----ライブピクチャーの製品を使うと“オンラインパブリッシング”が可能になると述べていたが、PDFは今後どうなるのか?

 「オンラインパブリッシングでは、米アドビシステムズ社が長年リーダー的な役割をはたし、PDFがすでにかなり普及している。ただ、PDFはテキストと静止画像を結合させるのに適しているが、高精細画像などの容量の大きなファイルをオンラインで伝達するのには適していない。それに対し、当社の製品は、Flash Pixフォーマットによって高精細の画像を伝達することができるという点ですぐれている。Flash Pixの技術とプリンターを組み合わせることで、大きなチャンスを生み出せると確信している」

----現在のアップルをどのように見ているか?

 「私がアップルを去ってから、もう5年が過ぎているが、アップルが日本で達成したことは誇りに思っている。アップルの日本法人は、最初は小さな会社だったが、わずか4年で売上が10億ドルを超える会社に成長し、NECに次ぐ日本で第2位のパソコンメーカーとなった。私がいたころのアップルは、イノベイティブな会社で、クリエィティブなユーザーに支持されるレベルの高い製品を提供していた。しかし、私が同社を去ってからの5年間は、ずっと落胆を感じていた。ただ、昨年同社の共同創立者であるスティーブ・ジョブス氏が復帰してからは、私がいたころのような革新性とクリエイティブなユーザーからの信頼を取り戻しつつある、と感じている。かつてのような威厳を取り戻しつつあり、非常にうれしい」

(報道局 佐藤和彦)

http://www.livepicture.com/

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