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米ネットスケープ、『Netscape Communicator 5.0』のソースコードを公開

1998年04月01日 00時00分更新

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 米ネットスケープ・コミュニケーションズ社は3月31日(現地時間)、同社のWebサイト“mozilla.org”にて、現在開発中の『Netscape Communicator 5.0』のソースコードの開発者向けリリースを公開した。これに伴い、日本ネットスケープ・コミュニケーションズ(株)の杉山逸郎社長が、本日、都内で会見を行なった。



 杉山社長は、ソースコードの公開について「人気のある商品を公開し、それを育てていくことは、チャレンジだと思っている」と語り、不安な面ものぞかせたが、「Communicatorを中心に、ラインアップが加速度的に増えていくだろう」という考えを強調した。

 同社長は、ソースコードを公開することで、「カスタムソリューションとしてのラインアップの充実、基幹業務を行なうエンタープライズ系のサポートの充実、エンドユーザー向けのバリエーションの充実が期待できる」としており、実際に、今後どういった製品がリリースされていくのかが注目される。

 また、ソースコードの公開に合わせて、その取り扱いを定義した“NPL(Netscape Public License)”が発表された。今回公開された『Netscape Communicator 5.0』のソースコードと、その一部または全部を元に作られたプログラムはNPLの対象となり、“mozilla.org”でソースコードを公開する必要がある。なお、公開されたソースコードを元に『Communicator』のAPIを介して動作するようなモジュール作った場合、そのモジュールもNPLの対象となる。ただし、そのモジュールを利用する、さらに別のプログラムはNPLには含まれない。

 “mozilla.org”に公開されるさまざまなプログラムのソースコードを元に、ネットスケープ社の運営する開発者向けWebサイト“DevEdge Online”で世界中の開発者が議論を行ない、今後リリースされる予定の『Netscape Communicator 5.0』の製品版やその他のベンダーから発売される製品に反映するという。これにより、営利企業として開発しづらい少数ユーザー向け製品のリリースも可能になるであろうとしている。なお、“DevEdge Online”では、『Netscape Communicator 5.0』のソースコードをCD-ROMにして10ドルで販売する。

 今回公開された『Netscape Communicator 5.0』はWindows版、MacOS版、UNIX版の3種類で、ブラウザーの『Navigator(Auroraを含む)』、HTML文書作成ソフトの『Composer』、『Communicator』を一元管理する『AutoAdmin』が含まれるが、JavaモジュールやSSL暗号化モジュール、メールソフト『Messenger』、ネット・ニュース用ソフト『Collabla』、スケジュール管理ソフト『Calendar』などは含まれていない。これらは、APIやモジュールを介して、別モジュールや別プログラムとして利用するためNPLの対象とはならないという。なお、法律の規制があるSSL暗号化モジュールや、他社にライセンスのあるJavaモジュールなどは今後も公開されないが、『Messenger』と『Collabra』は近いうちに公開される予定。

 ネットスケープ社では、ソースコードの公開は、米マイクロソフト社とのブラウザーのシェア争いのためではないとしているが、きっかけのひとつであることは間違いないだろう。理由はどうであれ、ユーザーにとって有益となるであろう今回の試みには、大いに期待したい。(報道局 中山実)

・日本ネットスケープ・コミュニケーションズ(株)
 http://home.jp.netscape.com/ja/

・“mozilla.org”
 http://www.mozilla.org/

・“DevEdge Online”
 http://developer.netscape.com/

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