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デジタルハリウッドが新校舎を公開、CCCの増田宗昭会長が特別講演

1998年03月02日 00時00分更新

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 デジタル・クリエイターのための専門学校“デジタルハリウッド The Multimedia School”を運営するデジタルハリウッド(株)は、2月12日に千代田区神田駿河台にオープンした新校舎“DH2001 Bldg.”の一般公開を28日に行なった。

 



 同社の杉山知社長兼校長は、「デジタルハリウッドが、校舎を持つのは初めてのこと」とあいさつ。8階建ての同校舎は、すべてのフロアが同社関連のオフィスや教室で、ギャラリーやデッサンルームも備えており、在校生・卒業生、外部デザイナーの作品も展示できるようになった。



 また、1階のセミナールームでは、新校舎移転特別公開セミナーとして、2月に同社に出資したカルチュア・コンビニエンス・クラブ(株)(CCC)の増田宗昭会長が、“情報楽園王国を築く次世代クリエイター達へ”と題する特別講演を行なった。CCCは、ビデオレンタルチェーンの“TSUTAYA”を運営、また、デジタル衛星放送(株)ディレク・ティービーの筆頭株主で、増田会長はディレク・ティービーの社長も務めている。



●デジタルハリウッドに出資をした理由

 「アメリカの映画産業は、航空産業に次ぐ産業に成長している。米国内で映画を公開して得られる興行収入は、ハリウッドの全収入の4分1に過ぎない。米国では、興行収入の4倍ぐらいの金額を、ビデオ化や放送などへの版権収入によって稼ぎ出している。だからといって、映画の興行収入が減っている訳ではなく、ここ数年興行収入は、対前年比プラスが続いている。映画の2次利用によって稼ぎ出したカネを、映画の制作費に上乗せすることができ、それがさらに興業収入や版権収入の拡大をもたらす、という好循環が続いているためで、この状況は、少なくともあと数年は続くと見ている。いずれ日本でも、同じような状況が来るはずで、そうなれば、コンテンツクリエイターの仕事が、たくさん出てくるようになる。それで、デジタルハリウッドに出資をさせてもらったのです」

●ディレク・ティービーがクリエイターにもたらすもの

 「これまでは、放送衛星のひとつのトランスポンダーで1チャンネルしか放送できなかったものが、デジタル衛星放送では、平均6チャンネルの放送が可能となる。これは、いままで1チャンネルを維持するのに月約4000万円かかっていたのが、月約600万円くらいにコストダウンできるようになることを意味する。単純計算をすると、1万円を払えばディレク・ティービーで、1時間番組を放送できるようになる。“放送のコスト革命”が、これから起きてくる」

 「もうひとつ、ディレク・ティービーがこれまでの放送と違う点は、ペイパービュー(視聴時間に応じた課金)が可能となることで、番組制作者にカネを返すことができるようになる点。アメリカでは、マイク・タイソンのボクシングの試合は、ペイパービューで1試合35ドル(約4000円)払わないと見られない。そのため興業収入はトータルで200億ドル(約2兆5000円)を超え、タイソンには、数十億ドルのファイトマネーが入る。ところが、日本のボクサーには、テレビ放送がついてもわずか数十万円のファイトマネーしか入らない。これは、他の番組も同様で、日本のテレビ界ではコンテンツを作っている人が報われない仕組みになっている。日本の地上波放送局では、番組制作のほとんどを下請けのプロダクションに発注している。広告収入の約半分が番組制作費で、いいものを作ろうが、悪いものを作ろうが下請けの会社の取りぶんはかわらない。そのために、いいものを作ろうとする現場の人と、制作費を安く仕上げたいプロダクションの経営者とが対立し、現場の人がキレてしまうことが多い。いいコンテンツを作っている人が報われるという市場原理を働かせるには、ペイパービューという仕組みが不可欠なのものとなるだろう」

●ディレク・ティービーの今後について

 「ディレク・ティービーには、インターネットでは当たり前となっている、インタラクティブな機能が初めから搭載されており、必要なデータはクリックひとつで呼び出せるようになっている。たくさんの番組を迷わずに選択できるようなサーチ機能もあり、機械が苦手な人でも簡単に使えるようなインターフェースになっている。それでも、日本での普及には時間がかかるとみており、何年か赤字が続いても持ちこたえられるように資本金を600億円と巨額なものにしたのもそのためだ。“PerfecTV!”とJスカイBの合併なんか、全然気にしていない」

(報道局 佐藤和彦)

http://www.dhw.co.jp/

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