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日本タイポグラフィ協会がタイプフェイスとフォント保護のシンポジウム開催

1998年02月13日 00時00分更新

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 日本タイポグラフィ協会が、シンポジウム“Typography Symposium 01タイプフェイスとフォントはどこまで保護されるべきか”を日本出版社クラブ会館で開催した。会場には同会会員や、法律家、エディトリアルデザイナー、タイプフェイスデザイナー、など、タイプフェイスに関係する専門家が集まった。

 同協会は'64年に結成された日本レタリングデザイナー協会を母体に、'71年に名義変更して生まれた任意団体。タイトルにある“タイプフェイス”とは日本語で“書体”のことで、記録や表示、印刷などの文字組にしようするため、統一的なコンセプトに基づいて作成された文字、記号などで構成された1組のデザインのこと。また、“フォント”とは、タイプフェイスを具体的な記録や表示、印刷などに利用できるようにしたハードウェア、ソフトウェアのこと。


第1部

 東京造形大学講師の吉田佳広氏が「最近、書体と字体を混同している。字体は国民共有の財産であるが、書体は違う。字体が裸の王様であるのなら、書体(タイプフェイス)は王様の着る服である。その服をデザインするのがタイプフェイスデザイナーであり、そこには著作権が生まれるのだ。タイプフェイスを使うための道具がフォントなのだ」とタイプフェイスとフォントの違いなどの概論を述べた。

第2部

 パネルディスカッションでは、吉田氏をコーディネーターに、フォントベンダーの立場から(株)ニイス代表取締役の伊藤晃氏、エディトリアルデザイナーの立場から(株)ディス・ハウス代表取締役の北澤敏彦氏、タイプデザイナーの立場から桑山書体デザイン室の桑山弥三郎氏、著作権法学会会員の立場から布施茂氏、以上の4人のパネラーで行なわれた。



 吉田氏は「結論は出ないと思うが、それぞれの立場から見た、タイプフェイスとフォントの法律的な保護について話したい」と口火を切った。タイプフェイスを作る立場の桑山氏は「ひとつの書体を作るのには、膨大な時間がかかる。できあがったタイプフェイスはすべて保護してほしいが、でもデザインするうえで著作権により新しい書体がデザインできなくなってしまうのも困る、というのが本音だ」と語った。

 また、北澤氏も「保護するべきかと聞かれれば、イエス。しかしデザイン的にフォントに手を加えることは、どんどんやる。しかし、手を加えたものをオリジナルのロゴタイプとして売ったりしようとは思わない。利用者のモラルに頼るより、保護するんだったらガイドラインを作るべきだ」と語った。

第3部

 公開討論と質疑応答では、タイプフェイスとフォントの法律的保護は、文化庁の著作権か、特許庁の意匠法か、どちらで保護するべきかの話題になった。すると、会場から手があがり、来場者として参加した特許庁の方から「明治時代の法律には意匠法でアルファベットの文字の申請をした記録もあり、判決でタイプフェイスは商品であると認められている。いろいろと特許庁でも検討はしているが、難しい問題であることは確かだ」と、当事者からの意見も飛び出し、思わぬ展開になった。

 タイプフェイスとフォントを保護したいのに、どうしたらいいのか具体的な方法が定まらないのが現状のようだ。同協会は'97年に文化庁著作権課長あてに、タイプフェイス法的保護の国際間相違の現状や、ネットワーク・デジタル化社会でのタイプフェイスの複製・改変の容易さを訴える “ネットワーク時代のタイプフェイス法的保護に関する要望書”を提出しており、タイプフェイスとフォントの保護が、国内だけの問題ではなくなった今、国際的な整合性の取れる法律的保護が必要だとして、シンポジウムは締めくくられた。(報道局 庄田恵美)

http://www02.so-net.or.jp/~j_typo/home.html

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