“Microsoft Professional Developers Conference 1997 Tokyo”の2日目の今日は、“Visual
J++の今後と、マイクロソフトのJava基本戦略”と題する講演などが行なわれた。
「Javaはすぐれた言語」というのがマイクロソフトの主張で、複数のプラットフォーム上で同一のプログラムが動くことについては、『Visual
J++』のプログラムマネージャーのGrady Leno氏は、「夢」と語り、現実は違うと主張する。
米Sun Microsystems社に“100% Pure Java”と認められたプラットフォームでも、JavaVMのバージョンの違いなどの理由からJavaソフトウェアがうまく動作しない場合がある。そこでマイクロソフトでは、“Win32”、“Windows3.1”“UNIX”、“WindowsCE”、そして“MacOS”用のJavaVMを同社がサポートすることで、これらのプラットフォームに関しては、この問題が今後は解決されるとしている。
C++と同じような言語でありながら、ポインターがなく、メモリー管理の必要もないJavaの高い生産性はマイクロソフトも認めており、最大のネックとなる実行速度の遅さは、“J/Direct”というJavaの拡張技術で“Win32API”を直接制御することで解決できるとしている。この場合、Win32上で動くアプリケーションの開発にJavaという言語を使うということになるので、他のプラットフォームでは動作しなくなる。
Javaアプリケーション開発ツールの『Visual J++』は今後、“J/Direct”を利用したWin32用のアプリケーション開発が前提となるという。もちろん“PureJava”の開発もできるとのことだが、プラットフォームにまったくとらわれない環境を目指すなら、「HTMLを使うべき」とGrady
Leno氏は語った。
Javaの利点は高い生産性と互換性にあるが、マイクロソフトは「Javaはすぐれた言語」と主張し、生産性と速度を重視して、“J/Direct”のような独自拡張をする一方で、WindowsやUNIX、MacOSなど複数のプラットフォーム上でのJavaVMのサポートを約束し、互換性への未練も見せている。しかし、マイクロソフトがすべてのプラットフォームをサポートするのは事実上不可能だし、サポートしないプラットフォームや、同社以外が提供するJavaVMとの互換性も保たれなくなるので、結局は動く環境と動かない環境とに分かれ、問題の解決にはなっていない。これについてはやはり、各メーカーの歩み寄りが必要で、マイクロソフトの独自路線が続く限り、プラットフォームに関係なく動作するというのは「夢」のままなのかもしれない。
ところで、気になる米Sun Microsystems社との裁判のゆくえだが「今日のところはノーコメント」とのこと。(報道局 中山実)
http://www.microsoft.com/japan/developer/events/pdc97jp/