読売新聞は1874年(明治7年)の同紙創刊号から最新号まで、1000万以上の記事をインターネット経由で検索できるサービス、「ヨミダス歴史館」を2009年初めを目処に開始することを発表した。
同社はこれまでも他の大手全国紙が提供しているのとほぼ同等の記事テキスト有料検索サービス「ヨミダス文書館」(本紙は1986年以降の記事を収録)を用意してきたが、それとは別に、過去の紙面をイメージ化し、CD-ROM/DVD-ROMに収録した「明治/大正/昭和の讀賣新聞」を1999年から順次発売している。
この商品では単なる紙面のイメージ化だけではなく、見出しをテキスト化するとともに、記事1本1本にメタデータを付加することで強力な検索機能を実現するなど、専門家の間では以前から評価が高かった。
一方で、一般には使った人の話をほとんど聞いたことが無かったのは、そのパッケージの仕様と価格ゆえだろう。たとえば明治版はCD-ROM39枚組(!)で価格は92万4000円(!!)。現時点で1970年分まで発売されている昭和版まですべて購入すると、(定価ベースとはいえ)477万7500円になる(!!!)。大学や図書館といった公的施設、企業にとっても、なかなか購入しにくい資料だったことは想像するに難くない。
今回ヨミダス歴史館は、この両機能をともにオンライン上で利用できるようにしたものである(1971~1989年分のパッケージは2009年発売予定だが、オンライン版では先行して利用可能)。イメージ化された紙面データの閲覧にはAdobe FLASHを利用する。データのダウンロードは許可されていないが、ローカルでの印刷は可能。また、オンライン独自の機能として、記事内の時事用語や言葉の意味を検索する用語辞典機能が用意されている。
基本的な利用料金は使用する端末を1台に限定する「端末特定型」で月2万7300円。同時アクセス数を1台に限定する「同時アクセス数制御型」で月3万7800円。
関係者によれば「基本的には官公庁や教育機関、企業などをターゲットにしている」が、個人による契約も「もちろん歓迎」とのこと。過去の社会状況に関する情報を、仕事や研究に必要としている個人にとっても、十分検討に値するサービス内容と価格だろう。なお、さらにライトな層を対象にしたサービスを用意しないのかという質問には、「そのようなユーザーには、今回のような定額制より従量制のほうがいいのかもしれない。そういうことも含めて色々考えてはいるが、現時点では検討中としか言えない」としている。