ブレードサーバーを初めて購入する場合、必ず合わせて購入する必要があるのがエンクロージャー(またはシャーシ)と呼ばれる筐体だ。エンクロージャーは、3Uから10Uくらいのサイズで最大6台から24台ほどのブレードサーバーを格納できるが、ブレードサーバーを1台導入するだけでもエンクロージャーは必要になる。ブレードサーバーは他のタイプと比較して初期投資が高くなると言われるゆえんだ。
ブレードサーバーの拡販に積極的な日本HPは2007年春に、当時定価63万円のエンクロージャーを「315円」で販売するキャンペーンを開始した。ブレードを同時に3枚以上購入するという条件がついていたものの、従来のラックマウント型で同様の性能を持つ構成を組んだ場合と比較しても割安になる、破格のキャンペーンだった。
キャンペーンは奏功したようで、日本HPはブレードサーバーのシェアでトップを占める存在となっている。現在も同様のキャンペーンを展開しており、ブレードを2枚以上購入すると、c3000/c7000のエンクロージャーがどちらのサイズでも315円、さらに本体とオプション製品が30%OFFになる。なお、ブレードを4枚購入すれば、エンクロージャーを2つ、各315円で手に入れることもできる(2008年10月24日まで)。
一方、他社でも、たとえばサン・マイクロシステムズでは3枚以上のサーバーブレード同時購入でSun Blade 6000のエンクロージャーが1000円に(2008年12月26日まで)、富士通では「かんたんブレードセット」購入でBX600 S3のエンクロージャーが400円になるといったキャンペーン(2008年9月30日まで)を実施中だ。また、IBMのようにエンクロージャーそのものの割引きはうたっていないものの、最小構成のセット合計金額が20万円以下になるといったキャンペーンもある(2008年9月30日まで)。今やほとんどのベンダーが何らかのキャンペーンをしているので、エンクロージャーの値段は実質的に「あってないようなもの」という状況になっている。
「なぜこんなに安いんですか?」――エンクロージャーの実質無料化の理由をベンダーにたずねると、「初期導入コストを下げてユーザーに受け入れてもらうことが狙い」という答えが返ってくる。確かにそのためのキャンペーンでもある。だが、意地悪な見方もできる。
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