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ドコモを取り巻く、3つの懸念とその言い分

2008年07月30日 23時10分更新

文● 西川仁朗、小林久/トレンド編集部

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 黒船iPhoneの登場や、端末価格の向上などによりビジネスモデルの変化が始まっている携帯電話業界。果たして、ケータイ事業社のトップはどのように考えているのだろうか? NTTドコモが30日に行なった2008年第一四半期の決算説明会を振り返る。

山田隆持社長

NTTドコモの山田隆持社長



ケータイの販売台数はもう伸びないのか


 夏商戦真っ盛りでも、客足はまばら。今年のケータイ電話市場には元気がない。理由は販売方法の変化。昨年からケータイ事業社は端末価格と通信料金を分離し、「二年縛り」などとも呼ばれる割賦制度の導入へと移行した。これにより店頭では「ゼロ円」で購入できる機種が減り、端末の買い替えも難しくなった。昨年に比較して、携帯電話機の売上は20~25%ほど減少したという調査報告もある。

 NTTドコモ例外ではない。決算説明会では前年同期比で2割の減少があったことが報告されている。

 これに対して山田隆持社長は「落ちた要因は前年同期は0円端末があった。端末が高くなり、それで買い控えが進んだと考えている。景気も関係しているかもしれない」とコメント。一方で「前年同期比で2割減というのが続くとは思わない。昨年の4~6月期は端末を600万台以上売った。率で言えば落ちているが(逆に言えば)前年よく頑張ったということでもある」とした。

 ただし、代理店手数料や端末機器の原価が下がったことによる営業費用の減少によって、収益改善に寄与した面もある。売上は落ちたが、営業利益は前年同期比で45.4%増の2965億円となった。



ケータイではもうあまり話さないのか?


 通話料による収益は、音声ARPUに関して言うと、10.2%減(一人当たり3560円)と減少傾向に拍車がかかった。

 これに関して中村社長は「新たな割引サービスによって通話料が減ったという面が大きい。ただしデータARPUに関しては大幅に伸びている。前年同期比で9.9%増の一人当たり2330円となっている」とした。

 増えた理由としては、ケータイ動画サービスの普及により、パケ・ホーダイなどの契約数が1340万件と前年に対して294万件も増えたことなどが挙げられるという。



iPhoneショックがあったのではないか?


 7月11日にソフトバンクモバイルから「iPhone」が発売された。同様にW-CDMA方式を採用しているドコモからiPhoneが出る可能性はないのだろうか?

 これに対して中村社長は「(可能性があるのかどうかについては)NDAであるため、コメントできない」と、ノーコメントの姿勢を貫いたが、発売を匂わせるような意味深な発言でもある。

 影響に関しては「MNPを見ていると、まだ途中だが7月の実績では、5月、6月とそれほど変わらないように思う。iPhoneによってドコモから(他キャリアに)一気に動いたということはない。2台目需要が多いのではないか」と、iPhoneショックはない、あるいは限定的という見解を誇示した。

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