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ソニーの新サラウンドを堪能してみた!

2008年06月19日 11時00分更新

文● 川添貴生、日本技芸

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ワイドな音場を実現する HT-CT100

3つのスピーカーを内蔵するフロントシステム。幅は800mm。壁掛けも可能だ

3つのスピーカーを内蔵するフロントシステム。幅は800mm。壁掛けも可能だ

 HT-CT100は、3つのスピーカーが埋め込まれたフロントシステムとアンプも兼ねるサブウーファーの2つのユニットでサラウンドを実現するという製品だ。バーチャルサラウンド技術としては、ソニーオリジナルの「S-Force Pro」が搭載されている。同社には同じくバーチャルサラウンド技術としてProの付かない「S-Force」もあるが、Pro付きはアンプやスピーカーを専用にチューニングしたモデルと説明されている。

サブウーファー部

サブウーファー部。サイズは幅160×奥行き360×高さ500mmで、テレビ用ラックと同じぐらいの高さがある。重量は10kg

 実際に試聴してまず感じたのは実際のスピーカーの位置・幅よりもはるかに音の発生源が広く感じられるということ。もちろん通常のスピーカーであっても、音自体は拡散して広がっていくわけだが、当然のことながら音が鳴っている位置自体はスピーカーが置かれた位置から変わることはない。

 しかしS-Force Proが組み込まれたHT-CT100はスピーカーよりもはるかに左、あるいは右から音がなっているように聞こえてくる。また音そのものも「演算処理の過程で変わっちゃいました」というようなことはなく、ソースが持っている雰囲気を損なっていない。

サブウーファーに搭載された入出力端子。映像/音声とも出力はHDMIのみ

サブウーファーに搭載された入出力端子。映像/音声とも出力はHDMIのみ

 さて、実際に試聴したのは戦闘機の空中戦のシーンにおいて、ある機体からパイロットが脱出するというある映画のシーンだ。この場面、パイロットが脱出した後、無人となった戦闘機が左前面から右後方に飛び去るときの音が聴きどころとなるが、特に戦闘機が迫ってくる左前方からの音は、スピーカーよりもはるかに左側のさらに奥の方から鳴っている感覚があり、テレビの前に置かれた3つのスピーカーが組み込まれたユニットから出力された音だとは信じられず、騙されている気分になった(実際に騙されているわけだが)。

 また別の映画の雨の中のシーンも試聴してみた。当然のことではあるのだが、雨音はどこか1カ所から聞こえてくるのではなく空間の無数の場所(雨粒の着地点)が音源となるわけで、サラウンドシステムにおいてどれだけ空間の広がりを演出できるかを計るバロメータとなる。

 HT-CT100ではどうだったのかというと、前方から左右にかけてしっかりと雨音が再現されていた。また、アンプ及びスピーカーユニットの性能が高さを実感できたのは、1つ1つの雨音がしっかり解像されていたということ。バーチャルサラウンドと侮るなかれ。価格以上に満足できる製品に仕上げられている。

バーチャルサラウンドに期待



 いくら安くても、特に心理面において、5つ、あるいはそれ以上のスピーカーを設置する負担はやはり大きい。この負担を軽減する技術として大いに注目されているのがバーチャルサラウンドというわけだが、今回2つの製品を試聴する機会を得て着実に進化していることを実感できた。

 この進化を下支えしているのが、人間の脳を騙す「アルゴリズム」である。人間には音が出ている場所を認識する仕組みが備わっているが、バーチャルサラウンドはこれを逆手に取ることでサラウンド感を実現している。

 近年の進化はこうした脳の仕組みの解明が進み、それのアルゴリズムへの反映が進んだことで実現されている。さらに進化が進めばホームシアターシステムを大きく変革する可能性があるわけで、今後もバーチャルサラウンド技術の動向には大いに注目したい。

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