2. Numbersの実力
Numbersを選ぶうえでの最大の関心は、Excelと比べてどれくらい「使える」のかという点に尽きる。ここでは使い勝手やデータの互換性など、日常的な使用を想定してその実力を比較してみた。デメリット以上にNumbersの魅力を知れば、きっと使ってみたくなるはずだ。
表計算ソフトの常識を覆すキャンバスの概念
「Microsoft Excel」が抱える欠点は、ひとつのシート内で列の幅や行の高さが固定されるということ。これは、Excelのワークシートを1枚の巨大な集計用紙と考えれば納得できる。用紙の上下で列の幅が変わることはあり得ないからだ。
Numbers '08の「キャンバス」は、そうした固定観念を打ち破った。表を独立したオブジェクトとみなして、無地のキャンバスの好きな位置へ自由に配置できるのだ。それぞれの表は独立しており、列の幅や行の高さなども個別に設定できる。
ただし、そうした自由度を重視したために利用できない機能もある。例えばExcelの「オートフィルタ」はデータを手軽に絞り込む機能だが、1枚のシートにひとつしか設定できないため、Numbersではサポートしていない。
代わりに、Numbersはひとつの表の中で条件に合うデータを絞り込む「フィルタ」機能を備えている。
アップル純正ソフトならではのグラフィック性能
Numbersの表現能力は「Pages」や「Keynote」譲り。キャンバスに張り付けた写真を加工/編集する機能や位置を合わせる「ガイド」、透明度やグラデーションを活用したグラフなど、訴求力の高い書類を作るには最適だ。写真や動画も表と同じ扱いで配置できるため、レイアウトの自由度もかなり高い。
一方、Excelはこの分野が苦手なイメージがあるが、Mac版のExcelには、以前から画像や動画の編集機能が備わっていた。ちなみに、Windows版の「Excel 2007」もグラフィックエンジンが一新され、従来は不可能だった中間色での表示が可能になるなど、グラフィック機能はかなり充実している。ただし、画像などはシート上に配置され、複数の表と写真が混在する場合、表の幅などが制限されるというジレンマもある。
表と写真などを組み合わせた書類を作るという目的では、レイアウトの制限のないNumbersのほうが有利だが、グラフィック機能自体はExcelも決して負けてはいないのだ。
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