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アップル純正表計算ソフトで業務から家計簿まで何でもこなせ!

Numbers '08集中講座

2008年02月17日 00時59分更新

文● 田中 亨(Office Tanaka)、MacPeople編集部

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2. Numbersの実力


Numbersを選ぶうえでの最大の関心は、Excelと比べてどれくらい「使える」のかという点に尽きる。ここでは使い勝手やデータの互換性など、日常的な使用を想定してその実力を比較してみた。デメリット以上にNumbersの魅力を知れば、きっと使ってみたくなるはずだ。



表計算ソフトの常識を覆すキャンバスの概念

 「Microsoft Excel」が抱える欠点は、ひとつのシート内で列の幅や行の高さが固定されるということ。これは、Excelのワークシートを1枚の巨大な集計用紙と考えれば納得できる。用紙の上下で列の幅が変わることはあり得ないからだ。

Excel 2004

Excelでは、ひとつのシート内の列の幅は統一されるため、図のように下の表の見た目を整えると、上の表の列の幅がバラバラになる。印刷時の見た目を重視するなら、印刷範囲外や別のシートにいったん表を作成して、目的の場所に図としてペーストすることになる

 Numbers '08の「キャンバス」は、そうした固定観念を打ち破った。表を独立したオブジェクトとみなして、無地のキャンバスの好きな位置へ自由に配置できるのだ。それぞれの表は独立しており、列の幅や行の高さなども個別に設定できる。

Numbers '08

Numbersでは、ひとつのシート内に複数の表を配置可能。それぞれのレイアウトや計算式は独立している。このため、表同士の列の幅も自由に設定して、美しいレイアウトを実現できるのだ

 ただし、そうした自由度を重視したために利用できない機能もある。例えばExcelの「オートフィルタ」はデータを手軽に絞り込む機能だが、1枚のシートにひとつしか設定できないため、Numbersではサポートしていない。

Excel 2004

Excelの代表的な機能である「オートフィルタ」では、膨大なデータの中から条件に合うデータを絞り込んで表示/選択できる。1枚のワークシートですべてのデータを扱うからこその機能と言える

 代わりに、Numbersはひとつの表の中で条件に合うデータを絞り込む「フィルタ」機能を備えている。

Numbers '08

互換性はないものの、Numbersにも条件を指定してデータを絞り込む「フィルタ」という機能が備わっている。同じシート内の複数の表をまたいで絞り込むことはできないが、ひとつの表にまとめればExcel同様に使える


アップル純正ソフトならではのグラフィック性能

 Numbersの表現能力は「Pages」や「Keynote」譲り。キャンバスに張り付けた写真を加工/編集する機能や位置を合わせる「ガイド」、透明度やグラデーションを活用したグラフなど、訴求力の高い書類を作るには最適だ。写真や動画も表と同じ扱いで配置できるため、レイアウトの自由度もかなり高い。

Numbers '08

iPhotoと同様の画像調整機能に加え、影や反射、インスタントアルファといった効果も用意。中央や端の位置に合わせる「ガイド」も利用でき、デザインのセオリーを知らなくても美しい書類を作れる

 一方、Excelはこの分野が苦手なイメージがあるが、Mac版のExcelには、以前から画像や動画の編集機能が備わっていた。ちなみに、Windows版の「Excel 2007」もグラフィックエンジンが一新され、従来は不可能だった中間色での表示が可能になるなど、グラフィック機能はかなり充実している。ただし、画像などはシート上に配置され、複数の表と写真が混在する場合、表の幅などが制限されるというジレンマもある。

Excel 2004

Mac版のExcelには、以前から写真や動画を配置する機能、写真の調整機能がある。エフェクトはNumbersにもない機能だ。配置するのはワークシート上のため、複数の表を組み合わせるのは難しい

 表と写真などを組み合わせた書類を作るという目的では、レイアウトの制限のないNumbersのほうが有利だが、グラフィック機能自体はExcelも決して負けてはいないのだ。


(次ページに続く)

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