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2007年冬モデルのハイエンド複合機

【レビュー】タッチパネル装備でさらに簡単操作 「HP Photosmart C8180 All-in-One」

2007年11月27日 09時00分更新

文● 行正和義

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タッチパネルのインターフェースは大きく改良
付属ソフトの高機能

メニュー

メモリーカードからの印刷でも基本的にタッチパネルを触ってゆくだけのシンプル操作。印刷の実行や中断は物理的なボタンとして用意されているので安心して利用できる

 タッチパネルでのインターフェースはD7360のものから変更されている。基本的にメニューをタッチして項目や画像を選ぶのは同じだが、目的別のメニューや画像の複数表示など、より洗練されたメニューシステムとなっている。ほとんどの操作が液晶パネルのタッチだけで行なえるものの、スタートやキャンセル、赤目補正など使用頻度の高い機能は物理的なボタンとして単独に用意されているのも、よく考えられている。

プリンター内に用意されたツール「印刷可の学校向け用紙」。学校向けに限らず、罫線の入ったメモ帳やグラフ用紙がちょっと欲しいときなどに便利

 印刷品質自体は2006年モデルと同等で、印刷結果を見ると他社のハイエンドモデルに比べて色の薄い部分での若干粒状感こそあるものの、鮮やかな発色や解像感の高さは決して見劣りがするものではない。パソコンからの印刷およびプリンター単体での画像印刷時には「RLT」(HP Real Life Technologies)と呼ばれる自動補正機能が利用でき、「OFF/標準/完全」の3レベルから選択できる。RTLは逆光などによる露出不足に対して自動的に明るさ・コントラスト補正を行なうものだ。RTLとは別に「自動強調」と呼ばれる設定もあり、強調をONにするとコントラストを強くして発色を強化する(なお、今回掲載した印刷サンプルはRLT補正のみで、自動強調はいずれもOFFとした)。

プリンター単体でLightScribeディスクを作成

パソコン側での作成と同様に文字と背景画像を指定すればプリンター単体でもLightdScribeディスクを作成できる

 また、パソコンからの印刷では付属ソフト「HP Image Zone」で明るさの補正やカラー調整、各種フィルタなど凝ったレタッチが可能となっている。各種の補正・レタッチの結果をパソコン画面上のバリエーション表示で確認できるほか、「デジタルネガ」と呼ばれる機能でレタッチの履歴を保存できるなど、付属印刷ソフトとしてはかなり強力だ。



印刷速度&印刷サンプル


 印刷速度はパソコンからの印刷ではL判用紙に対して、「高画質」で約50秒前後、「標準」ならば30秒以内と高速だ。A4用紙印刷でも「標準」で36秒、「はやい」ならば約20秒とかなりの高速なのが大きな魅力だ(いずれもRLTのON/OFFによる印刷時間の差はほとんどない)。また、印刷品質としては「高画質」の上にさらに「最大dpi」というクラスが用意されている。印刷速度は同条件(L判用紙)で1分05秒と「高画質」よりもやや遅くなり、画質はわずかに良いようだ。ただ、このモードは主に印刷解像度よりも画像データの解析およびプリンターへの信号送信処理を高品質に行なうもので、特にパソコン側のCPU・メモリー搭載量などによって遅延時間が左右されるようだ。

印刷サンプル1 1020万画素デジタルカメラの画像を印刷した結果。印刷ツールは付属ソフト「HP Image Zone」。印刷品質は「最大dpi」。画像補正RLTはOFF。L判印刷したものを300dppiでスキャンし、縦800ドットにリサイズしたものと、800×600ドットにトリミングしたものを掲載している。スキャン時・スキャン後にシャープネス・画像補正はかけていないが、発色などは現物とはやや異なる

印刷サンプル2 印刷品質は「最大dpi」。画像補正RLTは「標準」。補正なしに比べてシャープネスによる輪郭強調と彩度の引き上げが行われているようだ

印刷サンプル3 印刷品質は「最大dpi」。画像補正RLTは「完全」。「標準」とあまり変わらないようにも見受けられるが、「標準」ではややシャープネスのかけすぎでギスギスした印象があった部分が柔らかくなるなど、微妙に異なった印刷結果となっている

印刷サンプル4 印刷品質は「高画質」、画像補正RLTは「OFF」。最大dpiに比べてシャープさが落ちるものとなっているが、粒状感そのものはそれほど変わらない。また、やや発色が薄くなっている

印刷サンプル5 印刷品質は「標準」、画像補正RLTは「標準」。最大dpiのほぼ半分という高速な印刷速度となったが、粒状感の残る印刷となっている

印刷サンプル6 メモリーカードからの印刷。印刷品質は自動で、用紙として「プレミアムフォト用紙」を選択。粒状感などからパソコンからの印刷の「標準」と同程度の印刷品質になっていると思われる

印刷元画像 印刷に用いた画像データ。元画像は4000×3000ドットで、掲載用に800×600ドットにそれぞれリサイズ、トリミングを行なっている

 HPプリンタの魅力のひとつが高速な印刷速度だが、最近では他社製品にもかなり高速出力をうたうモデルが増えてきた。また、C7180のような多機能型複合機では有線LANや無線LAN、ファクスなどといった多くの機能を備えつつも他社ハイエンドモデルより安価なのが魅力だったが、本機ではファクス機能を省略し、また他社製品でも無線LANの標準内蔵といった高機能化も進んだため、本機が持つアドバンテージは以前より少なくなってきた印象だ。

写真スキャンサンプル 紙焼き写真(L判サイズ)を300dpiでスキャンした結果。プリスキャン15秒前後。本スキャンは約20秒と高速だ

再印刷サンプル 紙焼き写真の焼き増し機能「スキャンと再印刷」機能で印刷した結果。スキャンに約20秒、用紙指定後の印刷に約1分程度かかる。印刷品質は「高画質」で、パソコンからの高画質とほぼ同程度のようだ。スキャン結果の掲載のため彩度などがあまり再現されないが、ぱっと見では元の紙焼き写真とほとんど区別できない程度となっている

 とはいえ、本機の利点はタッチパネル操作が可能であることは確かで、特に操作を簡単にするというよりも操作パネル部を単純・小型化することにより、ボディーそのものの小型化に貢献している点は大きい。とかくボディーが大柄で設置場所に悩む複合機が多い中では本機のサイズは非常に小さく、他社ハイエンド機(光学ドライブを搭載していないモデル)と比べてもフットプリントが小さく収まっているのは高く評価できる。

サイズ比較
キヤノン MP970 幅471×奥行き396×高さ214mm
エプソン PM-A840 幅450×奥行き413×高さ205mm
日本HP C7180 幅465×奥行き448×高さ216mm

 同社製品に限らず、今期のプリンター/複合機は画質的・速度的な面ではあまり大きく進歩しておらず、高度な画像補正を自動化することで使い勝手の向上を図っている製品が多い。本機も印刷画質的には従来機と同等ではあるが、ハードウェア/ソフトウェア両面で使い勝手を向上させるための工夫がさらに推し進められ、かつ小型化も図られているなど、オールラウンドなホームユース製品としてかなり強力・快適に使える1台と言えるだろう。



HP Photosmart C8180 All-in-Oneの主なスペック
製品名 HP Photosmart C8180 All-in-One
印刷方式 サーマルインクジェット
印刷解像度 4800×1200dpi
インク 6色(CMYK+ライトシアン/ライトマゼンタ)
インクノズル 各色650ノズル
印刷サイズ A4、A5、A6、B5、封筒、ハガキ、往復ハガキ、L判、2L判、カスタム用紙設定など
給紙容量 メイン給紙カセット最高100枚/フォト用紙トレイ最大20枚
スキャン方式 CCD
スキャン解像度 9600×9600dpi
光学ドライブ スーパーマルチドライブ(24倍速 CD-ROM/CD-R/CD-RW、 4倍速 DVD-ROM/DVD-R/DVD-R DL/DVD-RW/DVD+R/DVD+R DL/DVD+RW/DVD-RAM)
液晶ディスプレー 3.5インチカラータッチスクリーン
インターフェース USB 2.0(High Speed)、IEEE 802.11g/b 無線LAN、10/100BASE-TX LAN、Bluetooth
本体サイズ 幅448×奥行き392×高さ216mm
重さ 13.2kg

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