このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

バーチャルワールドサミットを終えて

【レポート】「口コミの力」を知るメタバースの仕掛け人

2007年10月23日 16時13分更新

文● チジー・ディリー、撮影●萩原 淳(パシャ)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 17日と18日の2日間、両国KFCホールで「バーチャルワールドサミット2007」が開催された。米リンデンラボ社の「Second Life」が話題を集める中、バーチャルリアリティーや仮想空間、あるいは「メタバース」(3Dでできた仮想空間)といった言葉がITビジネスのキーワードとして取り上げられるようになってきている。

会場風景

バーチャルワールドサミット2007の会場風景

 今回のサミットでは、こうした「3Dインターネット」のビジネスで成功を収めている米国企業の幹部や新進クリエーターといったスペシャリストのほか、いち早くこの分野に乗り出した国内の事業家、企業代表なども集結。文字通り、国内バーチャルワールド元年における“首脳会議”となった。その模様を振り返ってみよう。



テレビメディアとのメディアミックス


スタイガー氏

初日のトップに講演したミリオンズ・オブ・アスCEOのルーベン・スタイガー氏

 今回のサミットで筆者が楽しみにしていたことのひとつに、バーチャルワールドエージェンシーとして成功を収めている米国トップ2社――米ミリオンズオブアス(Millions of US)社と、米エレクトリックシープカンパニー(The Electric Sheep Company)社の関係者の生声を聞けることがあった。

 日本でも紹介されている日産、ロイター、トヨタ、コカコーラなど大手企業の参入案件をこなしてきている2社だ。両社は、バーチャルワールドへの企業参入支援や新しいプラットフォームを利用したメディアであり、広告を展開するエージェンシーでもある。

 国内では、単純に企業支援といったくくりで称されることが多いこうした新鋭企業は、バーチャルワールドにおいては、マルチなタスクが求められる新分野の企業とも言える。この2社のキーノートの中でも特に目立っていた事例がシープのテレビ&Second Life連動ドラマ企画だった。



420個のミラーSIMを用意し、10万人の新規ユーザ獲得を狙う


バーベック氏

2日目に講演したエレクトリックシープカンパニーCEOのジブリー・バーベック氏

 エレクトリックシープカンパニーのCEOである、シブリー・バーベック(Sibiey Verbeck)氏がキーノートで紹介したのは、米CBS放送で今月24日(米国東部時間の午後10時)に放送開始される人気番組「CSI:New York」(CSI:NY)と連動した「CSI:NY Second Life Virtual Experience」だ。斬新かつ目新しい事例として、会場でもその外でも関係者たちの話題に上がっていた。

 ストーリーは、(Second Life内の)あるクラブで起こった殺人事件をCSI科学捜査班が追うというもの。

 視聴者も、番組と連動しながらSecond Life内に入り込み、仮想のニューヨークを舞台に自らの推理を働かせて調査を行なうことができる。

 Second Lifeで大規模キャンペーンを展開する場合に問題視されていることのひとつに、SIMに対するアクセスユーザ数の制限がある。

 通常は1つのSIMにおけるオンタイムでのアクセスは50~60ユーザー程度とされており、テレビ番組公開後に一斉にアクセスする視聴者をフォローするにはまったく桁はずれの数だ。

 そこで同社では、SIMのミラーサイトを用意することにしている。講演後、バーベック氏に個別に訊ねたところ、用意されるミラーSIMの数はなんと420個だという! 単純計算で50人×420個=2万1000人。同氏によると、このテレビドラマ企画で「10万人規模のセカンドライフ新規ユーザ確保を狙っている」そうだ。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン