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水着や下着姿のNPCも登場?

中国IT小話――官製腐敗防止ゲーム『清廉戦士』、その“立ち上げ”から“一瞬で終了”まで

2007年09月03日 20時31分更新

文● 山谷剛史

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 『清廉戦士』という中国のゲームをご存知だろうか。中国浙江省寧波市海曙区の共産党関連部門が今年7月末にリリースしたオンラインRPGで、中国の中世ファンタジー世界が舞台。その目的は政治腐敗を一掃するというものだ。転じてこのゲームをプレイすることにより、リアルな世界でも政治腐敗にNo!(中国語であれば“不要!”(ブーヤオ!)」か)と考えるようにさせるのがその目的だ。

起動時に表示される画面

清廉戦士の起動時に表示される画面

 ゲームリリースのニュースを発信した中国寧波網によると、このゲームの目的は、腐敗官僚を斬り、迫り来る悪魔を断ち、経験を積んで世界を腐敗政治がない世界にすること。登場人物として歴史上の人物165人が登場し、アイテムには寧波の特産物など寧波に関係するものが多数登場する。

 清廉戦士がダウンロードできる公式サイト“中国廉政文化遊戯網”では、清廉戦士だけでなく、気軽に遊べるミニゲーム“清官道”“清官連連看”(連連看は日本でいう上海系パズルゲーム)もリリースされていた。



ゲーム好きの中国共産党員が開発


 清廉戦士の誕生は5年前に話をさかのぼる。

 2002年、当時28歳だった共産党員――かれは寧波市海曙区の一地域を担当する共産党委員会書記で、ゲームが趣味が、余っている時間を使ってゲームプログラミングを学んでいた。

 先に紹介した清官道はその課程ででき上がったゲームのひとつだ。誰もが外出を拒んだ2003年のSARS流行では、住民や熱心な地域の共産党幹部の協力によりサイトを開設、ゲームをリリースした。

 この後同氏は清廉戦士の前身となるゲーム“廉侠除貧記”を地域限定でリリースした。2005年年初に中国中央政府が腐敗政治防止についてのお触れを出すと、寧波市海曙区の共産党機関の出資により、同氏をリーダーとする6人体制で教育効果もある永久無料のオンラインゲーム清廉戦士を2年の歳月をかけ開発した。

 中国においてオンラインゲームの開発費用は1000万元(約1550万円)はくだらないといわれているが、わずか約10万元(約15万5000円)の開発費用で開発できたという。人件費がかからない、というのが大きな一因であろう。

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