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JR東日本“第3の事業” Suicaが強いワケ――小縣常務、講演で経営者らに語る

2007年05月22日 20時53分更新

文● アスキービジネス編集部

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5月16~18日に東京ビッグサイトで開催された「データウェアハウス&CRM EXPO」。開催2日目となる17日、JR東日本の常務取締役小縣方樹氏が「JR東日本のIT事業戦略」と題した基調講演を行なった。会場を埋め尽くした企業経営者らに対して同氏が語ったSuicaの戦略とは?


変化対応のための“経営革新”を怠らない


「Suicaは鉄道、生活サービス事業に次ぐ第3のコア事業。だが、当初から今日のような姿が見えていたわけではなかった」

 JR東日本の常務取締役小縣方樹氏はこのように語りだした。同社が自動改札の導入を開始したのは、1990年のこと。当時の導入目的は、自動改札の導入によるコストの低減とサービス向上だった。「民営化に伴い、膨大な数の駅改札員が切符を切るという、現状のままではダメだという認識で始まった」(小縣氏)。

 小縣氏は、「実は当時から、“タッチ&ゴー”の非接触型の改札を実現できないかという案はあった」としたうえで、「技術的な問題から実現できなかった」と話す。一方で、1988年にFeliCaの開発が始まり、2001年にはEdyがスタート。1990年代後半には複数の電子マネーサービスが開始され、「電子マネーのマインドが社会に刻み込まれて」(小縣氏)いく。

 自動改札というインフラの整備を続けていき、周囲の環境が整ったタイミング=2001年11月18日に、Suicaは始まった。2004年3月にはいよいよ電子マネー機能も使えるようになり、電車の乗降のためのICカードから多目的型のICカードへと進化している。同氏はこれまでの経緯を振り返り、次のように総括する。

「もっとも大切なことは、コア事業での経営革新を怠らないことだ。10年先、20年先を正確に見通せる人はいない。常に経営革新を続けていくことで、新しいIT技術と結合する可能性が生まれ、結果として成熟したマーケットの中でヒット商品へと変わる可能性が出てくる」


“PASMO”との相互利用開始でトランザクションは倍増


 Suicaは現在、総発行枚数2000万枚、モバイルSuica利用者が46万人、利用可能店舗数は1万2700店にまで順調な成長を遂げている。利用可能な駅は、首都圏と仙台・新潟エリアに加え、首都圏の私鉄が参加するPASMOとJR西日本のICOCAの相互利用分とを合わせて2100駅あまりに達しており、「2008年3月にはJR東海のTOICAの相互利用やエリア拡大で2400駅にまで拡大する見込み」(小縣氏)だ。

 特に今年3月に始まった、101事業者が参加するPASMOとの相互利用はSuicaに大きな影響を与えた。1日あたりの発行枚数は「多いときでPASMO以前の4倍、最近でも2倍程度」(小縣氏)に増加。また、月間トランザクションも、これまでの800万トランザクション/月から1500万トランザクション/月とほぼ倍増しているという。

 小縣氏は、Suicaのこうした現状を踏まえたうえで、Suicaの成功要因を(1)大規模なシステム障害がない「信頼性」、(2)非接触型である「利便性」、(3)モバイルSuicaなどの新しい利用スタイルを提供する「スマートさ」と分析する。

 また、首都圏を中心とした交通網での利用に加え、駅を中心とした店舗やネットショップまで広範に利用可能であり、紛失時の再発行が可能であることが特徴になっているという。電子マネー機能も利用可能な店舗の増加に伴って着実に利用が増加しており、現在は1日あたり約56万件に上る。特に駅構内のコンビニエンスストア「NEWDAYS」では利用率が高く、「多い店では1日の売上の約3~5割の客がSuicaを利用している」(小縣氏)という。


【次ページ】Suicaの今後の戦略とは?

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