富士フイルムの“BIGJOB”(ビッグジョブ)シリーズは、工事現場などでの記録撮影用カメラとして息の長いブランドだ。最新の“FinePix”『BIGJOB HD-3W』は堅牢な防水ボディーに加えて、アウトドア/フィールドワーク向けの撮影機能を多数搭載しているのが特徴だ。
撮像素子は1/2.5インチ有効604万画素CCD、レンズは建設現場や建物などを広く1枚に収められる広角28mm相当からの光学3倍ズームを採用する。背面の液晶ディスプレーは3インチの大型のものを装備。光学ファインダーは搭載していないものの、反射防止コーティングに加えてバックライト輝度を大幅に上げる明るさアップ機能を持つため、屋外での視認性は極めていい。
大柄のボディーはJIS保護等級7級の防水、6級の防塵性能を備え、水深1mまでの水没や粉塵の中での撮影でも内部には水や粉塵が入らないようになっている。ただし、水中撮影用カメラではないため、水中での動作は保証されていない。大きなラバーグリップが持ちやすいほか、ボタン類も大きめのラバー素材でできているため、軍手や革手袋などをしたままでも操作には支障がない。
操作性はFinePixシリーズを継承しているものの、各種撮影機能をワンタッチで呼び出せる“F”ボタンはなく、カラーモードや画像サイズなどの設定項目はメインメニューに収められている。上面にあるモードダイヤルはフルオート/マニュアル(露出補正などが可能となるもので、絞りやシャッター速度を個別に指定できるものではない)/動画のほか、“CALS”と呼ばれる国土交通省基準の画像サイズ(1280×960ドット)で記録される工事・建設現場向けモードが用意されている。
このほか、工事・建設などの現場用の機能として、AFのほかに2.5mと5mの距離へのピント固定モードもあり、AFが効きにくい暗所や粉塵・煙のある場所でも撮影しやすい工夫がなされている。また、AF枠が中央固定になっているのも、工事現場などで余分なものに合焦しないというカメラの目的に合致している仕様だ。
内蔵フラッシュは自動調光機能に加えて最大10mまで照射できる増光モード“10mフラッシュ”(標準モードでは対応距離5m)も備える。外部フラッシュを装着するためのシューも備えているため、夜間や薄暗い場所での撮影には外部フラッシュを合わせて利用すると便利だ。ただし、フラッシュ(シンクロ)接点はなく、内蔵フラッシュにスレーブ発光するタイプが必要だ。
面白いのは、デジタルカメラで初となる“画像加工検出機能”だ。このモードをONにした状態で撮影すると、画像内に撮影時刻などの情報を暗号化して埋め込むため、その情報から画像が改変されたかどうかをチェックできる。カメラの再生モードで確認できるほか、付属の画像表示&簡易編集ソフト『FinePix Viewer』でもオリジナル/改変が見分けられるようになっている。操作にあたっては、メニューで“画像加工検出”をONにするだけだが、このモードをONにしていると起動のたびに「日時設定を確認してください」という警告メッセージが表示される。情報の埋め込みに時刻情報が重要となることから注意を促すのは当然であるが、使っていてややわずらわしい印象はある。