出先でもモバイル通信を欠かせない現代ビジネスマンにとって、PHSやケータイの無線データ通信は重宝するもの。だが、いったん自宅やオフィスの無線LAN環境に慣れてしまうと、64kbpsといった速度では物足りなくなるのも事実。最近では街中の各所に有料/無料の無線LANアクセスポイントが設けられ、駅構内やカフェ、レストラン、ファストフードなどの店舗から公衆無線LAN経由でインターネットにアクセスできるサービスも増えている。こうした公衆無線LANスポットを知っていれば便利に使えるのだが、初めての場所や知らない土地ではどこに行けばいいのか困ってしまうこともある。
モバイルの達人ならば事前に通信キャリアのウェブサイトなどからサービス店舗などのリストを作成しておくといった準備もできるだろうが、忙しいビジネスマンは突然の出張や行き先変更なんてこともしばしばだろう。そんな準備がないときに限って通信しなくてはならない事態になったりするものだ。
(株)アスキーと(株)トリプレットゲートが提供する無線LANアグリゲーションサービス“ASCII24 Wireless Gate(ワイヤレスゲート)”は、複数の無線LAN業者と提携して公衆無線LAN接続を手軽に実現するサービスだ。
単に接続手順を一元化するだけではなく、携帯電話のウェブサービスと連携し、iモードやEzWeb、ボーダフォンライブ!の画面上で最寄のアクセスポイントを検索できるようになっているのが特徴だ。
利用にあたっては、最初にユーザー登録する必要があるが、アクセスポイント検索など基本的なサービスに関しては月額基本料金(210円、支払い方法はクレジットカード決済)で利用可能だ。会員登録後は、iモードなどでワイヤレスゲートのサイトに入ってユーザー名とパスワードを入力、アクセスポイントの検索は駅名/住所/ランドマーク(建物)などを入力するほか、携帯電話の位置情報サービスを利用して自分の所在地から近いアクセスポイントを探し出すことができる。位置検索ではGPS対応携帯電話を使う場合は高精度、それ以外では携帯基地局からの距離情報なのでやや大雑把になる(精度はキャリアや基地局の位置によって異なる)。
半径500m圏内に利用可能なアクセスポイントがあれば、地図上にその位置と設置施設/店舗の名称、通信キャリア、料金などが表示される。また、現在位置からホットスポットまでの移動ルートも表示される。初めての土地で住所や建物、電話番号が一切わからなくても、ひとまず無線LAN経由でインターネットに接続するためのルートが表示されるというのはなんとも心強い。
無線LANへの接続手順は通信キャリアによって一部異なるが、駅構内や公共施設を中心に展開する日本テレコム(株)の“モバイルポイント”ならば、アクセスポイントを選んだ後に“申し込み”を選択すれば、その場で無線LANに接続するための情報、つまりESS-IDとWEP(Wired Equivalent Privacy)キーが提供される。Yahoo!BBモバイルはその場で電話をかけ、音声サービスで登録を行なうことになる(10月19日現在では無料試験サービス中)。あとは無線LAN機能を持つパソコンの“ワイヤレスネットワーク接続”のプロパティ画面でESS-IDとWEPキーを設定。ウェブブラウザーを起動して最初に表示されるログイン画面でログイン情報(IDとパスワード)を入力すればよい。IDはワイヤレスゲートのユーザーの場合、ワイヤレスゲートのユーザーID+“@wig”(例えば、IDがASCIIならASCII@wigという具合)、パスワードにはワイヤレスゲートのパスワードを入力する。料金は接続するサービス(キャリア)によって異なるが、2時間で399円もしくは315円(Yahoo!!BBモバイルなら無料試験サービス中)で2時間利用できる。
さっそく携帯電話とノートパソコンを持って町に出かけて、都内数ヵ所を回りながら試用してみたのだが、10月中旬の時点で登録アクセスポイントは“500ヵ所以上”とのことで、駅や繁華街を500m以上離れると見つかるアクセスポイントは減少してしまうものの、丸の内や六本木など有名スポットでは簡単に見つかった。年内にはさらに2000ヵ所以上のアクセスポイントが追加登録されるというので、カバー率にも期待できそうだ。
いざ利用可能なアクセスポイントが見つかったら、携帯電話で利用開始の手続きを行ないつつパソコン(対応OSはWindows XP)を起動すれば、タスクトレイの“ワイヤレスネットワーク”のアイコンから“ワイヤレスネットワークに検出しました”のバルーンが表示されているので、クリックしてプロパティを開き、ID/WEPキーを入力する。その後でウェブブラウザーを起動すると最初にログイン画面が出るので、ログイン情報を入力すれば設定完了だ。作業そのものは非常に簡単で、無線LANの設定を一度でも行なったことがある人なら間違えそうな部分もない。
実際に使ってみて、あらかじめ無線LANサービスごとの登録や設定をする必要がないのはもちろん、ホテルなどの無線LANサービスのようにカウンターでの利用開始手続きも不要なのが便利だ。特に、都内の有名観光スポットなら何がしかの無線LANサービスを始めているケースが多く、そうした場所で颯爽とノートパソコンと携帯電話を取り出して、さっくり快適高速インターネット接続を行なうのはなかなか気分がいい。
無線LAN対応のノートパソコンやPDAを持ち歩いてみると、街中には無線LANアクセスポイントの多さに驚かされる。これらを、サービス会社(キャリア/ISP)による店舗や場所に制限されることなく、同じオペレーションでインターネット接続を始められる“ワイヤレスゲート”は、いつでもどこでも“今すぐ”使い始めたい無線LANユーザーと、より多くのユーザーを獲得したいサービス事業者との間を橋渡しするサービスとして重宝しそうだ。
なお、年末(2004年12月31日)まではユーザー登録時の月額料金が無料となるトライアルキャンペーンを実施している。まずはこの期間中に自分のよく訪れる場所で、どれくらい使えるアクセスポイントがあるか、確認してみてはいかがだろうか。