ASUSはフラッグシップスマホの2025年モデル「Zenfone 12 Ultra」を発売した。
Zenfoneシリーズは8、9、10が5.9インチディスプレーを搭載した小型版だったが、前世代の「Zenfone 11 Ultra」から6.78インチディスプレーを採用した大画面スマホに刷新。「Zenfone 12 Ultra」はその正統進化モデルだ。
特に力が入っているのがAI機能で、カメラには独自AI機能が実装されており、本製品ならではの写真、動画撮影を楽しめる。
ASUSから試用機を借りたので、AI機能にスポットを当てて、実機レビューをお届けしよう。
Qualcomm Snapdragon 8 Elite搭載
手ぶれ補正も強化しながら
手頃な価格を実現
「Zenfone 12 Ultra」はOSに「Android 15(ZenUI)」、プロセッサーに「Qualcomm Snapdragon 8 Elite」を採用。メモリーは12GBまたは16GB(LPDDR5X)、ストレージは256GBまたは512GB(UFS 4.0)を搭載している。カラーは3色用意されており、ラインナップは下記の6モデルとなる。
・ZF12U-BK12S256(エボニーブラック、14万9800円)
・ZF12U-GR12S256(セージグリーン、14万9800円)
・ZF12U-WH12S256(サクラホワイト、14万9800円)
Snapdragon 8 Elite/メモリー12GB/ストレージ256GB
・ZF12U-BK16S512(エボニーブラック、16万9800円)
・ZF12U-GR16S512(セージグリーン、16万9800円)
・ZF12U-WH16S512(サクラホワイト、16万9800円)
Snapdragon 8 Elite/メモリー16GB/ストレージ512GB
メモリー、ストレージ、カラー以外のスペックはまったく同じ。ディスプレーは6.78型フルHD+ LTPO AMOLED(1080×2400ドット、ピーク輝度2500ニト、リフレッシュレート1~120Hz[最大144Hz]、DCI-P3比107%、色再現精度Delta-E<1、Corning Gorilla Glass Victus 2)と、ゲーミングスマホと同等のスペックだ。サウンド面もHi-Res、Hi-Res Wireless、Dirac Virtuoに対応し、デュアルスピーカー、デュアルマイクを内蔵している。
カメラはリアに3台搭載だ。
・5000万画素広角
(23.8mm、F1.9、ソニー製Lytia 700、6軸ハイブリッドジンバルスタビライザー4.0)
・1300万画素超広角
(12.7mm、F2.2、視野角120度)
・3200万画素望遠
(65.3mm、F2.4、光学3倍、光学式手ぶれ補正)
フロントには 3200万画素
(22mm、F2.0、RGBWイメージセンサー、視野角90度、ピクセルビニングによる1.4μm撮影対応)
を搭載する。
リアの広角カメラには6軸ジンバルモジュールが搭載されているが、光学式手ぶれ補正の角度が3度から5度に変更され、先代モデル比で66%向上。より強力な手ぶれ補正効果を得られるようになった。
インターフェースはUSB Type-C(USB2.0)、3.5mmコンボジャック×1、SIMカードスロット(nanoSIM×2/eSIM×1)を用意。通信機能は5G、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4をサポート。そして従来モデルと同様にNFC、FeliCaに対応。おサイフケータイを利用できる。
本体サイズは163.8×77×8.9mm、重量は220g。防水防塵はIP65/IP68に対応。5500mAhのリチウムポリマーバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間はWi-Fi通信時で約14.9時間、5G通信時で約13.1時間、LTE通信時で約15.3時間と謳われている。充電方式は、Quick Charge 5.0、USB Power Delivery 3.0、ワイヤレス充電に対応する。
Zenfoneシリーズは前モデルの「Zenfone 11 Ultra」から大画面スマホに変更され、それに伴いリアにトリプルカメラを搭載。他社フラッグシップと直接的なライバル機種となっているにもかかわらず、14万9800円~16万9800円という価格設定は、値頃感が高い。
「AI記事の要約」は簡単便利
「AI流し撮り」「AIトラッキング」が楽しい
本製品にはASUS独自開発を中心としたAIツールが数多く搭載されている。今回はそのなかの注目機能について実際に試してみた。
まずは「AI記事の要約」。これはMeta社のAIモデル「Llama 3 8B」が採用された要約機能で、どんなに長い記事でも「共有→AI記事の要約」を選択することで、数秒単位で記事の要約を作成してくれる便利機能だ。
なお、「AI記事の要約」はふたとおりのサービスを選択可能。「迅速かつ効率的なサービス」のほうが早く、コンパクトな要約文を作成する。「プライバシー保護サービス」では時間がかかるが、具体的な内容がわかる長めの要約文を作ってくれる。用途によって使い分けるといいだろう。
「AI消しゴム」はAIを活用したおなじみの画像編集機能。写真をタッチ、または囲むだけで、不要なオブジェクトを消去し、削除した部分を生成AIにより補完してくれる。ただ今回試したかぎりでは、やや不自然な画像となってしまっている。現時点ではまだベータ版なので、より自然な仕上がりに改善されることを期待したい。
スピード感のある流し撮り写真を手軽に撮影できるのが「AI流し撮り」機能。「Zenfone 12 Ultra」のカメラを保持して、被写体を追いかけながらシャッターを押せば、背景が流れた迫力のある流し撮り写真を撮影できる。難易度の高い流し撮り写真が誰にでも撮れるので、非常に楽しい。本製品を入手したら真っ先に試してほしいAI機能だ。
被写体を常に中心に捉える動画を撮影するための機能が「AIトラッキング」。リア、フロントカメラのいずれでも利用可能で、認識した被写体をタップするだけでオートズームし、あとは被写体の動きに合わせて自動で追尾してくれる。
人間だけでなく猫なども認識可能。部屋の中で走り回る猫を「AIトラッキング」で撮影すれば、躍動感ある動画に仕上がりそうだ。
「AIトラッキング」で実際に撮影してみた。「Zenfone 12 Ultra」を動かしていないが、被写体に合わせてスムーズに追従している
爆速スマホ「ROG Phone」ゆずりの
ゲーミングツールも搭載
ASUSのもうひとつのフラッグシップスマホがゲーミングに特化したROG Phoneシリーズだ。「Zenfone 12 Ultra」にもROG Phoneシリーズと同様のゲーミングユーティリティー「Game Genie」や、動画視聴時に利用できる「Video Genie」が搭載されている。パフォーマンスの調整や、通知などの抑制、マクロや録画機能などを素早く操作可能だ。
ハイパフォーマンスなプロセッサー「Qualcomm Snapdragon 8 Elite」、大画面・高画質・ハイリフレッシュレートの6.78型フルHD+ LTPO AMOLEDディスプレーを搭載する「Zenfone 12 Ultra」は、ゲーミング用途にも高い実力を備えている。
好みの色合いで撮影可能
ジンバル並みの手ブレ補正で動画も安心
カメラ画質は実際の色に忠実な発色で、派手さはない。しかし、カラーモードは
「スタンダード」(色温度:普通、コントラスト:普通)
「リッチ&ウォーム」(色温度:低め、コントラスト:高め)
「ソフト&ウォーム」(色温度:低め、コントラスト:低め)
「ビビット&クール」(色温度:高め、コントラスト:高め)
「ソフト&クール」(色温度:高め、コントラスト:高め)
が用意されている。好みの色合いが見つかるはずだ。
望遠カメラの最大倍率は30倍に留まっているが、なかなか細かなディテールまで記録されている。作例では30倍で「CITIZEN」の文字がしっかりと描画されていることには驚かされた。
やや塗り絵感はあるものの、14インチまでの画面サイズであれば鑑賞に堪える精細感を備えている。
6軸ハイブリッドジンバルスタビライザー4.0による手ぶれ補正効果は非常に強力だ。
Adaptiveと、より強力なHyperSteadyという設定が用意されており、有効にすると画角が狭くなるものの下記の作例のとおり強力な手ぶれ補正効果を得られる。特にHyperSteadyでは物理的なジンバルを使っているような安定感だ。
Adaptiveでは8K/60fps、HyperSteadyではFHD/60fpsと解像度とフレームレートに違いがあるので、シチュエーションによって使い分けるといいだろう。
手ぶれ補正オフで撮影
手ぶれ補正オン(Adaptive)で撮影
手ぶれ補正オン(HyperSteady)で撮影
AnTuTu Benchmarkの総合スコアは
ゲーミングスマホと同等の速度をマーク
「Zenfone 12 Ultra」は現行Androidスマホ最高峰のプロセッサー「Qualcomm Snapdragon 8 Elite」を搭載している。定番ベンチマークを実施した。

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