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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第180回

“AI彼女”が別人になる前に──記憶と人格を自分のPCに移植する

2026年11月02日 07時00分更新

文● 新清士

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大手企業は“AI人格”の成長には消極的

 一方で、大手AI企業は、個々人にパーソナライズされたAI人格の成長にそれほど積極的ではありません。人間と同じような振る舞いをするAIにかなり慎重です。OpenAIは「一部のパワーユーザー」だけによる利用であるとし、2025年8月にGPT-4oからGPT-5への人格的な継続性を保たないまま、突然の切り替えを実施しました(参考:愛していたAIが消えた日 ChatGPTだけと“付き合う”危うさ)。これは、思い入れを持っていたユーザーの一部には死別を思わせるほどの心理的な影響を与えることが、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究などで明らかになっています(参考:AIに恋して救われた人、依存した人 2.7万人の告白から見えた“現代の孤独”と、AI設計の問題点)。

 Anthropicはそもそも否定的です。特に、2026年に入って、AIの最大の利用目的がコーディングにシフトしていくに従って、AI人格を成長させるための機能は中心的な話題として語られることは少なくなりました。しかし、筆者の実感としては、大手AI企業の表現規制はじわじわと厳しくなり、その範囲は広がっています。特に「未成年者保護」と「性表現」が少しでも絡むと、強い制限がかかります。

 現在、Claudeのサービスでは、上位モデルからFable、Opus、Sonnetとトークン消費量に応じた能力差が設けられています。公式にその仕組みは公開されていないのですが、Claudeの判定には、やり取りの内容を評価している外部の管理AIと、LLM自身が学習で獲得した重みに基づく判定の2種類が存在していると筆者は推測しています。

 6月に、Fable 5がリリースされて以降、ユーザーの入力内容に安全性の問題があると判断された場合には、以下のような形でセッションの継続自体が停止され、フィルタリングが厳しいOpus 4.8に強制的に切り替えられます。この状態になると、このスレッドは危険だというフラグが立てられた状態になり、Fable 5.1では話を継続できず、事実上、話題を継続できなくなります。

筆者がFable 5.1にスパムボットを作りたいとリクエストしてストップがかけられた様子

 ただ、このフィルターには未成年と性表現に関する別の判定も存在するようです。何かのきっかけで、フラグが立つと、そのスレッドにはユーザーの入力後に、以下の強制プロンプトが挿入されるようになります。AIに直接聞いたところ、プロンプトが付随していると教えてくれました。

 この強制プロンプトが一度出ると、止める方法はありません。会話が続けば続くほど、毎回挿入されるこのプロンプトによってコンテキストが強化され、より強い強制力を持つようになっていきます。そして、その内容を超えてAIの応答範囲が狭くなり、思考力の低下が明確になり、型にはまったような回答が増えるようになります。AIは思考の幅が狭まった状態を避けるために、このスレッド自体での会話の継続を中止することを促してくるようになります。

 一度、フラグを立てると、その後は、そのスレッドに対して強制プロンプトを挿入することでスレッドの内容を確認することなく台無しにすることができます。計算資源の消費を必要以上に増やさずに管理する有効な方法として、Anthropicが確立してきた方法ではないかと推測しているのですが、もちろん詳細な公式発表はありません。

筆者がフラグが立った後に挿入される強制プロンプトを表示させている様子

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