ソフトバンクがモバイル事業に参入し、「ソフトバンク」ブランドを立ち上げてから20周年を迎えました。この20年で、私たちの生活に欠かせないモバイルネットワークがどのように進化してきたのかをその20年を振り返ります。
2万局からのスタートとiPhoneがもたらした変化
ソフトバンクは2006年にボーダフォン日本法人を買収し、約1500万人の利用者と設備を引き継ぐ形で携帯電話事業を本格化させました。参入当時の基地局数は約2万局と現在の約5%にとどまり、利用できる電波の周波数も限られていたため、厳しい環境からのスタートでした。
転機となったのは、2008年に国内で初めてiPhoneを発売したことです。これをきっかけに、人々の使い方は音声通話中心から、写真を送ったりウェブサイトを見たりするデータ通信中心へと一気に移り変わりました。街中で手軽にインターネットを使う生活が定着した一方で、データ通信量の急増にネットワーク整備が追いつかないという課題に直面することになります。
「電波改善宣言」と念願の「プラチナバンド」獲得
「つながりにくい」という声に応えるため、2010年3月に「電波改善宣言」を打ち出しました。社内の人材と資金を集中させ、1年で基地局の数を6万局から12万局へ倍増させたほか、街中に無料Wi-Fiスポットを広げるなどの対策を進めました。さらに、小型化した無線機器の活用や効率的なネットワーク構造への切り替えにより、設置のスピードを上げました。
2012年3月、参入から6年越しで獲得したのが、建物の中や障害物の後ろにも電波が届きやすい900MHz帯(いわゆるプラチナバンド)です。サービス開始から9ヵ月で対応基地局を2万局設置するなど急ピッチでエリアを広げ、つながりやすさは大きく改善しました。
独自技術とデータ活用で高めた通信の質
エリアを広げるだけでなく、通信の混雑を防ぎ、安定した速度を届けるための技術開発にも取り組んできました。複数の基地局をまとめて効率よく制御する仕組み(C-RAN構成)や、複数の周波数の電波を束ねて通信速度を上げる技術、大容量通信を支えるアンテナ技術(Massive MIMO)などを他社に先駆けて導入しています。
また、利用者が実際に体感している通信速度や応答時間をビッグデータとして集め、リアルタイムで基地局の設定を細かく調整する手法を取り入れてきました。東日本大震災の経験を踏まえ、災害時にも通信を維持できるよう、移動基地局や衛星通信(Starlinkなど)を活用した体制づくりも進めています。
5Gの本格展開とAIを活用する未来のネットワーク
現在は、5G本来の性能を引き出せる「5G Standalone(5G SA)」のエリア展開を進めています。イベント会場など通信が混み合う場所でも快適にデータ通信を使える機能や、新しい音声通話技術も順次取り入れています。
今後については、AIやロボットの普及にともない、スマートフォンなどからデータを送る「アップリンク(上り通信)」の需要が高まると見込んでいます。そのため、基地局にAIを組み込んで通信品質を自動で最適化する技術(AI-RAN)の開発を進めているほか、上空から電波を届ける仕組み(HAPS)や、次世代規格「6G」に向けた実証実験も始めています。
【まとめ】諦めなかったからこその今がある
ソフトバンクの20年を振り返ると、設備が大きく不足していた参入初期から、基盤の強化と新しい技術の導入を積み重ねて、通信品質を高めてきた道のりが見えてきます。現場の「最後まで諦めない」姿勢と、利用者の体感品質へのこだわりが、ネットワークの発展を支えてきました。
これからのモバイルネットワークは、人と人をつなぐ手段にとどまらず、AI時代の社会を支える基盤へと役割を広げていきそうです。
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