ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第893回
インテル製GPU「Crescent Island」の正体、容量480GBメモリーでエージェント型AIとKVキャッシュ問題に挑む
2026年09月14日 12時00分更新
Hot Chipsの第3弾はインテルのCrescent Islandである。Crescent Islandは昨年10月にその存在が公開された、AIデータセンター向けのGPUである。出荷は2026年下半期という話だったので、今年中には実際に出荷できるはずである。
AI全振りの製品位置付けとXe3pアーキテクチャの基本構造
Crescent Islandはサーバー向けGPUという意味ではPonte VecchioことデータセンターGPUの後継と言えなくもないのだが、データセンターGPUはHPCとAIの両方を志向していたのに対し、Crescent IslandはAI向け全振りの構成になっており、ポジション的に言えばXe2のArc Pro Bシリーズの後継といった方が正確だろう。
ではXeonと組み合わせてエージェント型AI時代のLLM処理を全部担うのがCrescent Islandになるのか? というと少し違い、そこにはSambaNovaのSN50が入るという微妙な位置付けになっている。
このあたりは、実際に製品が投入される頃にはもう少し両者の立ち位置が整理されることを期待したい。
商品構成上の特徴はともかくとして、Crescent Islandの特徴が下の画像だ。おもしろいのは350WというTDPの枠であり、あくまで空冷で動作することが重要としている。
またネイティブでMxFP4のサポートも追加されている。ちなみにMxFP4に関しては独自拡張などせず、OCPの定めるblock size 32のものだけがサポートされるという話だった。
Crescent IslandはXe3pアーキテクチャーである。これはPanther Lakeなどに搭載されているXe3をベースに拡張が施されている。そのXe3pの内部構造が下の画像である。
8 Vector/8 XMXで一つのXeコアを構成するのはXe-HPC系と異なる、コンシューマー向けXeの系列を汲んだ構成となっている。ただFP4のサポートや、XMXで16×16 シストリックアレイのサポートが追加されたあたりは変更点である。
余談だが、16×16のシストリックアレイというと、今年のISSCCでインテルが発表したDNNプロセッサーが実装していたことを思い出す。あるいはISSCCのあの実装は、Crescent Island向けの先行実装と性能評価の意味も兼ねていたのかもしれない。
Crescent Island全体は32 Xeコア構成になっている。
XMXで16×16の行列演算を1サイクルで実行できるとすると、Crescent Island全体では256 XMXエンジンなので、512×256=128KFlopsという計算になる。もっともこれは16bitの場合の数字で、FP4では4倍なので512KFlops、1GHz動作では512TFlopsになる。
今回Crescent Islandの動作周波数は公表されていないが、過去の例で言えばIntel Arc Pro-BシリーズのハイエンドであるB70がベース2.28GHz/ターボ2.80GHzとなっている。仮に3GHzだとすれば1.5PFlopsほどの性能となり、これは悪い数字ではない。
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