全3シリーズが出揃い「光の革命」ラインアップが遂に完成
30万円台から、TVS REGZA、RGB Mini LED液晶レグザの普及モデル「ZX3S」を発表
2026年07月08日 10時03分更新
TVS REGZAは7月8に日、最新のディスプレー技術を採用した「RGB Mini LED液晶レグザ」の新製品を発表した。
普及価格帯を担うスタンダードシリーズとして「ZX3S」シリーズを追加。これにより、RGB Mini LED液晶テレビは、発売済みのフラッグシップ「ZX1S」シリーズ、ハイエンド「ZX2S」シリーズを加えた全3シリーズ10モデルになった。
発表会には、同社取締役副社長の石橋泰博氏をはじめ、画質、音響、AI、クラウドなど各分野の第一線で活躍する開発エンジニア陣が勢揃い。色彩の次元を超える「光の革命」をどのようにして量産製品へと落とし込んだのかについて紹介した。
手の届く価格帯でRGB Mini LEDテレビを!
「ZX3S」シリーズは、100V型、85V型、75V型、65V型、55V型の合計5モデルがあり、大画面からリビングサイズまでをカバーする幅広い機種を展開する。価格はすべてオープンプライスで実売価格は35万2000円~110万円前後。
2026年のテレビ市場で注目の技術となる「RGB Mini LEDバックライト」。レグザはこの技術を他社に先駆けて採用しているメーカーだ。
石橋副社長は、先行して投入した「ZX1S」「ZX2S」の状況を踏まえつつ、市場の反響とその手応えを語った。
石橋 「店頭に並び始めた直後ではあるが、我々が意図していた通り『圧倒的に色が良い』という非常にポジティブな反響をいただいている。競合他社の参入もあり、ユーザーもマーケット全体にRGBという大きなトレンドが到来したことを実感しているのではないか」
新たに加わった「ZX3S」は、上位モデルの優れた色表現力を継承しながらも、より多くのユーザーが手に取りやすいリーズナブルな価格帯を実現した、いわば「RGB Mini LEDを本気で普及させるための戦略的モデル」である。
既存の上位シリーズ「ZX1S」「ZX2S」との主な違いは大きく3点。
・ピーク輝度
・バックライトのエリア分割数
・サウンドシステムの構成
一方で、心臓部である高画質化処理プロセッサーには、上位機種と共通の最新映像エンジン「レグザエンジンZRα」を採用。RGB Mini LEDのポテンシャルを最大限に引き出す基本性能はしっかりと担保されている。
あえて「タイムシフトマシン」を見送った理由
レグザの代名詞と言えば、全録機能の「タイムシフトマシン」だが、「ZX3S」はこの機能をあえて搭載していない。この決断について石橋副社長は次のように明かした。
石橋 「タイムシフトマシンは我々にとって非常に強力な武器であることは間違いありません。しかし今回は、RGB Mini LEDという次世代の映像体験を、一刻も早く、そして広く日本の市場にお届けし、このマーケットをレグザが牽引していきたいという強い思いがありました。タイムシフトマシンを組み込むとどうしても開発工程が伸びてしまうため、あえて非搭載という決断を下し、早期の市場投入を最優先しました」
なお、レグザのシリーズには「Z890」シリーズがあり、通常のMini LEDバックライト搭載でありながら、タイムシフトマシンを含むすべての機能を網羅した製品となっている。位置づけとしても、「Z890」は「ZX3S」の上位になるという。
RGB Mini LEDパネルを支える独自調光テクノロジー
さて、RGB Mini LED液晶パネルの革新性はそのバックライト構造にある。
通常のMini LED液晶は、単色(主に青色)で発光するLEDの光をバックライトに用いている。この光を量子ドットやカラーフィルターに通してRGB(赤・緑・青)各色の波長に分解して、色を作り出す仕組みだ。
一方、レグザが採用したRGB Mini LED方式は、バックライトの光源そのものがRGBの3色で独立して光るLEDを採用し、それらを緻密にコントロールする贅沢な仕組みだ。
メリットはRGB各色の色純度が極限まで高まる点。従来のLEDバックライトを搭載したモデルとの比較では、約115%も広い色域を実現する。さらに、漏れ光の特性も改善されるため、斜めから見た際の画質低下を防ぐ広い視野角も獲得している。
発光の偏りを均一化する「配向工夫」と「電流制御」
しかし、RGB Mini LEDには技術的な課題もある。それは、3つの独立したLEDを1つのパッケージに収めて発光させるため、物理的な位置の違いから「発光の偏り(ムラ)」が生じやすくなる点だ。
この課題を解決するため、バックライト基板上におけるLEDの向きをあえて多方向に分散させて配置する独自の調光テクノロジーを開発。画面全体で極めて均一で美しい光の放射を実現している。
また、エリアごとの輝度を制御する「RGB輝度ブースト」も進化を遂げている。従来は点灯時間(パルス幅)の制御だったが、同時に流す「電流の量」もリアルタイムで制御し、明るい部分はより力強く、暗い部分はより深く沈み込ませる、極めて緻密な階調表現を可能にしている。
開発エンジニアが語るRGB Mini LED液晶テレビ
発表会の後半では、RGB Mini LED液晶テレビのラインアップが完成したことを記念し、開発に携わった6名のエンジニアによるトークセッションも実施された。
【映像・パネル制御】一本の線から見出したブレイクスルー
画質・エンジン技術を担当した小西秀吾氏(ビジュアルコア技術ラボ)は、映像エンジン「レグザエンジンZRα」のチューニングにおける二律背反の苦労を語った。
小西 「大画面モデルが多いのが特徴でしたが、大画面になればなるほどノイズが目立ちやすくなります。しかしノイズを消す処理と先鋭感を出す処理はトレードオフとなる部分があり、そのジレンマに苦しみました。RGBパネルの特性に合わせて制御アルゴリズムを大幅に変更せざるを得ず、最適なバランスを見つけ出すまでに多くの時間を費やしました」
これに連動する形で、RGBパネル技術を担当した中山玲偉氏(ビジュアルコア技術ラボ)も、リアルタイム制御の壁にぶつかったという。
中山 「従来のMini LEDは1種類の光源を制御すればよかったのですが、RGBは3色同時に、しかもリアルタイムで超高速な制御をしなければなりません。開発の途中で、どうしても狙った通りの制御速度が出ない現象が起きました。アルゴリズムをいくら見直してもダメでした。チームでハードウェア、ソフトウェアの垣根を越えて徹底的に協議を重ねた結果、最終的に『エンジンとバックライトをつなぐ、たった1本の信号線』の仕様が原因であることに突き当たりました。ここを克服できたのは、チームが一丸となっていたからこそです」
結果として、RGB化による処理量の増加に負けることなく、エリア分割数をセーブすることのない、高コントラストかつ豊かな階調を持った画質が完成した。
【AI・パーソナライズ】クラウドに頼らない「オンデバイスAI」での個人識別
センシング技術を担当した入江祐司氏(ネットワーク&AIアプリケーションラボ)と、クラウド・みるコレ担当の佐々木梓氏(クラウド事業センター)は、「家族みんなで使うテレビ」ならではのパーソナライズ機能に挑んだ。
新機能として搭載されたのが、声によって個人を特定し、プロフィールを自動で切り替える機能だ。
入江 「家族というのは、一般的に声の質や特徴量が似ているため、音声による個人の識別が極めて難しい領域です。さらに、プライバシーへの配慮とレスポンスを重視し、音声データの解析処理をクラウドではなく、すべてテレビ本体の内部(ローカル)で完結させることにこだわりました。限られたハードウェア資源のなかで、家族を正確に見分けるアルゴリズムを構築するのは至難の業でしたが、最終的には高い識別率を達成できました」と胸を張る。
この音声認識と連動するのが、レグザの誇るお勧め機能「みるコレ」だ。佐々木氏は、開発の背景をこう振り返る。
佐々木 「昨今は『推し活』などでテレビや配信番組を楽しむ方が増えていますが、家族で好みが違うと、録画番組やおすすめが混ざってしまい、自分が見たいコンテンツにすぐたどり着けないという不満がありました。新製品では、プロフィール切り替え機能により、テレビに向かって自然にしゃべるだけで、ユーザーの切り替え操作を意識することなく、その人専用の『みるコレ』画面に切り替わります。番組と配信を横断して、探さずに楽しめる快適なUXを実現しました」
さらに、電波センサーで室内の人の位置を認識し、画質や音声をその場所に合わせて最適化する「レグザセンシング」も搭載。2023年にレグザが業界に先駆けて投入したこの技術は、他社の追随を許さない先行者としての意地と、さらなる進化への布石が打たれている。
【音響技術】暴れる重低音をねじ伏せた「フォースキャンセルウーファー」
迫力ある音響面を支える音質技術の担当・高橋大氏(AVシステムラボ)からは、筐体の振動との激しい闘いが明かされた。
新製品には、9個のスピーカーを総出力90Wのマルチアンプで駆動する強力なサウンドシステム(重低音立体音響システム)が搭載されている。その核となるのが、背中合わせにスピーカーを配置して不要な振動を相殺する「密閉型フォースキャンセルウーファー」という新技術だ。
高橋 「試作段階の当初は、フォースキャンセルが上手く機能せず、低音を鳴らすたびにテレビ全体が激しく振動してしまい、お世辞にも製品化できる状態ではありませんでした。そこで、スピーカーユニットのベンダーの技術者の方々と密にディスカッションを重ね、開発現場で測定データを見ながらリアルタイムで構造を修正していくという、泥臭い作業を徹底しました。その甲斐あって、最終的には不快な振動を完全に抑え込み、クリアで歪みのない、圧倒的な重低音を響かせることに成功しました」
さらに、テレビのスピーカーと対応するサウンドバーを同期させて音場を広げる「シンクロドライブ」技術との組み合わせにより「音像がきちんと画面のセンターかつ一歩前に定位を実現。映像と音が完全に融合する「レグザ中低音立体音響ZX」の立体音響体験が提供されている。。
総括:映像・音・使いやすさの「三位一体」でテレビの未来を切り拓く
トークセッションの最後は、プロダクトプロデューサーとしてディスプレーの商品企画を統括した槇本修二氏がコメント。新製品、そして完成したラインアップにかける想いを次のように締めくくった。
槇本 「スペックの数字を上げるだけであれば、自己満足で終わってしまいます。その価値をお客様に分かりやすい形で届け、テレビの『視聴体験』そのものを進化させることが我々の本当の目的です。
新しいデバイスだからといって、ただ派手で見栄えが良いだけの絵作りにするのではなく、レグザらしく階調がどこまでも整っており、コントラストが高く、遠近感や立体感、さらには空気感まで描き出せる。そして、その映像に負けない音が寄り添い、見たいコンテンツへストレスなくアクセスできる使いやすさがある。
この『映像・音・使いやすさ』の三位一体の進化こそが、今回のRGB Mini LEDレグザの持ち味です。ぜひ、店頭でこの感動の体験を味わっていただきたいです」
2026年、ブランド誕生から20周年の節目を迎えたレグザ。現時点で限定記念モデルなどの計画はないとのことだが、新発売の「ZX3S」を含めたRGB Mini LEDの全3シリーズの布陣は、20周年を飾るにふさわしい充実したもので、同社の「本気の解答」と言えるだろう。
ただ、新技術を採用するだけでなく、一般ユーザーの手が届く普及帯へと革新の光を落とし込んだレグザの次なる一手に、大きな期待が寄せられる。
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