サイボウズが語る2024年問題から2年経った建設業界の現状
ナンバーワンDX事例の後藤組に続け 建設業の残業削減を阻む「情報迷子」から脱却するには?
2026年06月02日 12時00分更新
「2024年問題」から2年が経過した建設業界。その対応のためにDXツールの導入が進んでいる一方で、サイボウズの調査ではまだまだ業務効率化には至っていない実態が浮き彫りとなっている。
サイボウズは、2026年5月27日、ノーコード・ローコードツール「kintone」の導入が業界別で5番目に進んでいる「建設業界」をテーマとした説明会を開催した。
同業界におけるDXの課題やその解決策が示されたほか、kintoneを活用する先進企業として山形県の後藤組が登壇。経済産業省の「DXセレクション2025」でグランプリを受賞した同社が、具体的な成果や業界全体へDXを広げるための次なるステップについて語った。
ITツールの導入は進む建設業 ボトルネックは「情報のサイロ化」
時間外労働の上限規制(いわゆる2024年問題)が適用された建設業界。2年が経った今、現場の業務は変化しているのか。サイボウズが2026年3月、同業界の従事者1000名に対して実施した調査では、まだまだ業務効率化には至っていない実態が明らかとなった。
同調査によると、実に6割(60.3%)の従事者が、2024年の残業規制前と比べて事務作業の量が「変化していない」と回答。非効率な事務作業が残る要因としては、「属人化」(20.6%)や「人手不足」(17.3%)が上位に挙がった。
一方で、サイボウズの営業本部 ソリューション営業部 部長である雲岡純司氏は、「ツール自体は普及しており、ベンダーが思うほどにITリテラシーは低くない」と現場の実感を語る。実際に、IT導入補助金の採択結果を分析すると、建設業は全体の20%超を占める圧倒的なトップ。ITツールへの投資に積極的な様子がうかがえる。
それでも効率化が進まない要因のひとつが、「情報のサイロ化」だ。サイボウズには「各現場の情報の把握に時間がかかる」「社員や協力会社と情報を共有したい」といった相談が数多く寄せられ、上記の実態調査においても、回答者の約6割(63.7%)が、必要な情報にたどりつけない“情報迷子”の経験があると答えている。
雲岡氏は、情報のサイロ化の背景として、目の前の個別業務を最優先にツール投資を進めてきた結果だと指摘する。これにより局所的な効率化は達成されるが、社内にデータが散在する状況を招く。さらに、導入したツールで対応できない領域は、いまだExcelなどの汎用ツールで補っていることがこれを加速させる。
こうした現状の建設業に対して、サイボウズでは、業界や業種を問わず広く利用される「ホリゾンタルなツール」からを統合していくことを提案しているという。
CADや積算といった専門ツールはデータ連携でつなぎ、総務や勤怠といったツールは、kintoneのような情報プラットフォームに集約していくというアプローチだ。そして、このプラットフォームに社外の関係者も巻き込み、最終的にはビジネスに必要な情報が一元管理される状態を目指す。
雲岡氏は、「最終的にできあがるのが、各社専用のヒトやモノ、カネ、情報のデータベース。ここに行けばすべての情報が見つかり、AI活用にもつながる」と語る。kintoneであれば、コメントや更新情報など、AIが精度の高い回答をするためのコンテキストも自然に蓄積されていくのも特徴だ。
なお、情報の集約を進める中では、「現場にいかに正しい情報をインプットしてもらえるか」という落とし穴が待ち受ける。これを回避するには、APIを用いてデータ入力の手間を減らすことに加え、「使い慣れたツール」からインプットできる仕組みが重要だという。
kintoneでも、LINE WORKSのような誰もが使えるツールとの連携のほか、タブレット専用のインターフェイスを作成できる「kintone Touch」を開発中である。
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