国内企業のインフラの悩みを解決する「モダンプライベートクラウド」の現在
ハードウェア高騰やサイバー攻撃激化にVMwareはどう対応してる? VCFの新版「9.1」が登場
2026年05月25日 12時00分更新
Broadcom傘下のヴイエムウェア(VMware by Broadcom)は、ITインフラの統合仮想化プラットフォームの新版「VMware Cloud Foundation 9.1(VCF 9.1)の一般提供を開始した。新版では、ハードウェアの高騰やAI推論への投資拡大、激化するサイバー攻撃といった、現在のITインフラが直面する課題を見据え、さまざまな機能強化を図っている。
ヴイエムウェア日本法人が2026年5月20日に開催した説明会では、BroadcomのVCF部門で製品担当VPを務めるポール・ターナー(Paul Turner)氏が、VCF 9.1の詳細を解説。あわせて、カントリーマネージャーの山内光氏からは、同社が「モダンプライベートクラウド」向けプラットフォームと位置付ける、VCFの日本市場での進捗などが語られた。
コスト最適化・AI対応・セキュリティにおける新機能
ターナー氏は、AI投資が学習から推論へと移行する中、AIワークロードをプライベートクラウドで稼働させたいというニーズが、世界的に増大している強調した。実際に、同社が2026年5月に大企業のIT担当者1800名に対して実施した調査では、実に56%が「新規のAIワークロードはプライベートクラウドを優先する」と回答している。
これに対し、VCF 9.1は、「AIの本番環境に最適な、セキュアでコスト効率に優れたプライベートクラウドプラットフォーム」であるという。こうしたAIワークロードへの対応やコスト最適化、セキュリティといった、ITインフラの課題に対応するVCF 9.1の主要アップデートが紹介された。
コスト最適化では、サーバー仮想化のvSphereにおいて、「NVMeによるメモリー階層化」機能が強化された。これは、前版のVCF 9.0から実装された、高速・高価なDRAMを「ティア0」、低速・安価なNVMe SSDを「ティア1」として階層的に扱えるようにする機能だ。アクセス頻度が高いデータはDRAMに、低いデータはNVMe SSDに振り分け、メモリー容量を抑制できる。この仕組みは、仮想マシンからみて透過的に行われる点がポイントだ。
こうした階層化により、サーバーのTCO(総所有コスト)を最大40%低減できるという。同社の試算によると、例えば400台の仮想マシンを追加する場合、すべてDRAM(3.8TB)で調達すると約37万7000ドルのコストがかかるが、メモリー階層化でNVMe(4TB)とのハイブリッド構成にすると、約32万1000ドルの削減につながる。
そして、VCF 9.1では、サーバーを再起動せずにメモリー階層化の有効化やデバイス選択が可能になったほか、NVMeのRAID1ソフトウェアミラーリングに対応している。
また、 HCIストレージ仮想化のvSANにおいては、最新アーキテクチャであるvSAN ESA環境でクラスター全体で重複データを削減する「グローバル重複排除」が正式提供された。外部ストレージアレイと比較して、ストレージTCOを最大39%まで削減できるという。
AI・コンテナワークロードへの対応については、Container as a Service(CaaS)機能を簡素化した。KubernetesのコンテナワークロードをvSphere上で直接実行するための軽量な仮想マシン「vSphere Pod」を、直感的なUIによってデプロイ・管理できるようになり、さらに、ワークロードにあわせて仮想マシン・Kubernetesクラスター(VKS)・vSphere Podの3つの実行環境を同一基盤上で選択できるようになっている。
AIモデルやエージェント向けのAIオブザーバビリティも実装している。VCF OperationsおよびPrivate AI Services(PAIS)向けにトークンスループットやKVキャッシュの利用率、エージェントやMCPサーバー数などの主要なメトリクスを可視化するダッシュボードを追加した。
セキュリティ面では、ゼロダウンタイムのパッチ適用を拡張している。VMware ESXおよびvCenterにおいて、システムを再起動させることなくパッチ適用できる「ライブパッチ」の対応ユースケースを約8割にまで広げた。さらに、ゼロから最小限のダウンタイムでパッチ適用できる「クイックパッチ」も加わっている。
また、ランサムウェア被害を抑えるための新機能が、オンプレミスクリーンルームによるサイバーリカバリーだ。ネットワーク仮想化のNSXによるネットワーク分離とvSANのスナップショットによりエアギャップ環境のオンプレミスクリーンルームにバックアップを構築。同環境内での、EDR(VMwareのCarbon BlackまたはCrowdStrikeを選択可能)によるマルウェア検査からその後の復旧までの一連のワークフローを自動化する。なお、本機能は、アドバンスドサービス向けのライセンスが必要となる。
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