このページの本文へ

「Knowledge 2026」で語られた“感知・判断・実行・保護”のポートフォリオ拡充

AIエージェントを野放しにしない ― ServiceNowは“AI司令塔”で自律とガバナンスを両立

2026年05月14日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

AIの目(感知):Workflow Data Fabricの進化

 「Sense(感知)」を担うのが「Workflow Data Fabric」だ。企業のあらゆるデータをつなぎ、人とAIが広大なデータの集合体を「1つのもの」として扱えるようにする統合基盤データレイヤーである。

 データおよびアナリティクス製品担当 EVP 兼 GMのガウラヴ・レワリ(Gaurav Rewari)氏は、既存製品との違いを「多くのデータファブリックはインサイトのためのものだが、Workflow Data Fabricはインサイトとアクション、両方のために設計されている」と説明した。

 今回の主な発表は3点だ。1つ目が、既存の250種類以上のコネクタに加え、100種類以上のゼロコピーコネクタを新たに追加したことだ。データをServiceNowに移動させることなく、あらゆる場所のデータにアクセスできる。

 2つ目は、MCPクライアントのフルサポートだ。これにより、AIエージェントがMCP対応のあらゆるデータソースと連携可能になる。3つ目は対話型UIであるOttoのサポートだ。Ottoを通じて、自然言語での指示だけでデータインテグレーションを自動構築できる。

システムやワークフローを横断してAIに業務を遂行させる対話型UI「Otto」

 「ServiceNow Data Catalog」も発表した。メタデータ管理・データリネージ・プライバシー管理を統合し、AIエージェントが信頼できるデータだけを使って判断を下せる環境を整備する。

 さらに、データベースエンジン「Raptor DB Pro」も強化し、ホット/コールドデータをシームレスにクエリできる「Live Archive」や、既存のBIツールをETLなしでリアルタイム接続できる「Live Connect」が追加された。

AIの頭脳(判断):Context Engineと4つのグラフ

 データを集めるだけではAIは賢くならない。「Decide(判断)」の核となるのが「Context Engine」だ。AIプロダクト担当グループバイスプレジデントのナンシェド・バロワラ(Nanshed Barrowala)氏は、「一般的なLLMは会社のことまでは知らない。だが、ServiceNowには20年分の企業運営のデータがある」と語る。

 Context Engineは、Knowledge・Action・Access・Asset・Decisionという5種類のグラフを、CMDB(構成管理データベース)に統合した「グラフのグラフ」である。すべての決定・アクション・結果を取り込み、使うほど賢くなっていく。

 イベントでは、このContext Engineを基盤とした「Autonomous Data Analytics」も発表。組織全体のデータに対して、「何が起きたか」「何が起きるか」「何をすべきか」といった問いに答える常時稼働のAIアナリストとして利用できる。

Autonomous Data Analytics

 デモでは社員の部署異動を想定し、User Graph、Knowledge Graph、Security Graph、Decision Graphの4つが連鎖的に動く様子を披露した。

 ある社員の異動を指示すると、まずUser Graphが、新部署で必要な権限を洗い出す。次にKnowledge Graphが、社内ポリシーやSOXコンプライアンスを確認。Security Graphは、アクセス状況のギャップを検出し、過剰な権限を自動削除する。最後にDecision Graphが過去の異動事例を分析して、最適な研修を推薦するという流れだ。

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

  • 角川アスキー総合研究所