展示会の喧騒の中でも声はしっかり拾う
113言語+専門辞書で英語の精度は高め 日本語はやや劣るが実用域
この手の製品で懸念していた点が、ノイズが多い環境での集音性能だ。Comulytic Note Proはトリプルマイク(MEMSマイク×2+VPU)を搭載しており、最大5m先の音声まで拾えるとされている。関連の発表会やMWCのブース内でも、担当者との1対1の会話はしっかり録音できていた。
ただし、ブース間の仕切りが薄いエリアでは、隣のブースの音声が混入することもあった。完璧なノイキャンではないが、インタビューの録音用途としては十分な水準だ。
文字起こしの精度向上に一役買っているのが、ビジネス用語などの語彙を収録した「内蔵辞書」だ。IT分野はもちろん、保険、不動産、法律、医療といった業種ごとの専門用語があらかじめ登録されており、専門分野に強いことが特徴。
実際に、テック系の会話でよく飛び出す用語やカテゴリー名もある程度正確に拾えていた。専門的な会話が多い取材現場では、この辞書の恩恵は地味ながら大きいと感じた。
Comulytic Note Proの対応言語は113言語で、日本語はもちろん英語、スペイン語、中国語、韓国語など取材でよく使う言語は一通り網羅されている。ただし、日本語の文字起こしや要約の精度は、英語と比べるとやや劣る印象を受けた。固有名詞の表記ブレや、話し言葉特有の言い回しが崩れるケースが散見される。
とはいえ日常的な会議や打ち合わせの記録として使う分には十分なレベルで、細かい修正を加える程度で問題なく使えた。英語での高精度を軸にしつつ、日本語でも実用的に動く、というのが正直な評価だ。
売りの「無制限文字起こしが無料」が思った以上にうれしい
AIボイスレコーダーの多くは、文字起こし機能に月間の利用上限を設けている。たとえば、競合のPlaud Note Proは月300分を超えると課金が必要になる仕組みだ。
無料で月間300分(5時間)もあれば十分と思うかもしれないが、意外と使い切ってしまう。一般的なビジネスシーンで週に1度、90分の定期社内ミーティングがあれば無料プランでは足りなくなる。
ましてやMWCのような大規模展示会では、会期前にスマホ本体や通信サービスの発表会が行なわれることも珍しくない。今年はXiaomiに加え、HONORの発表会もあり、発表の録音だけでも合計240分前後。その後のインタビューなどを考えると、会期前に無料枠を使い切ってしまう計算だった。
便利なAIボイスレコーダーも、便利に使うための機能の多くは課金しなければならない点は惜しいところ。
競合製品にはそんなサブスクリプションの壁がある中、Comulytic Note Proでは無制限の文字起こしと要約機能がStarter Plan(無料)に含まれると明示している。これは競合製品にない大きな利点だ。
実際にMWCと会期前の発表会を合わせた6日間で20本以上の発表内容やインタビューを録音した(時間にして500分弱)が、追加料金なしですべて文字起こしできた。長期の海外取材や、原稿本数が読めないイベント取材では、この料金体系は純粋にありがたい。
無料のStarter Planで使えるのは、上述の無制限の文字起こしと基本要約に加え、Deep Dive(詳細分析)が月3回まで、Ask Comulytic(AIへの質問機能)が月10回まで。
AIの詳細分析にはChatGPTやGeminiを用いる。正直、取材メモの書き起こしと要約、整理が主な用途であれば、無料枠で十分まかなえる。
有料のPremiumプランは月払い2980円、年払いなら2万796円(月換算約1733円)の構成。Deep DiveとAsk Comulytic機能が無制限になるほか、無料プランでは利用できない360° Client Decoding(会話から顧客の購買意図や行動シグナルを分析する機能)が解放される。
これらの有料機能は正直なところ営業、コンサル、法人取引など、会話の質的分析まで踏み込みたいユーザー向けの機能と見ていい。筆者のような取材用途、会議後の議事録まとめ等の作業効率化に限れば、無料プランで事足りるシーンが大半だろう。
基本機能はすべて無料で使え、必要に応じて課金するというスタンスは、競合と比べても良心的だ。
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