“Danbooruタグに強い”ことが売り?
ただ、Animaは「Danbooruタグ」に強いということを、売りの一つとして押し出しています。
Danbooruはアニメ・漫画系イラストに特化したタグ型画像共有サイトで、2024年時点で650万枚以上の画像が公開されています。日本からは無断転載ではないかと批判が絶えませんが、米著作権法上のフェアユースにあたるという議論もあり、2005年から現在までサービスが止まることなく続いています。
それぞれの画像には、人力で60万以上のタグが付与されており、1枚の画像にそれを説明する細かなタグが階層性を持って付けられています。画像生成AIの学習時に、画像とタグとのペアで構成されていることは都合がいいのです。手付けする必要があった学習データセットを作成する作業をスキップできることが大きく、画像生成AI用に使われてきた背景があります。
その後、画像を解析する研究が進み、画像に自動的にDanbooruタグを付与する「オートタガー」が登場するようになります。例えば「この画像は blue_hair(青い髪)の確率92%」といった形で分類してくれるようになったのです。現在主流の「WD14 Tagger」(Waifu Diffusion 1.4 データセット由来のタガー)と呼ばれるものなど、様々なものが存在します。現在では、追加学習モデルの学習用データセットに使うテキスト情報は、オートタガーを利用して作成されるようになってきています。
さらに、LLMのマルチモーダル化が進み、「自然文キャプション系(Vision-Languageモデル)、VL系」も登場するようになります。Danbooruタグ系はあらかじめ用意されているタグの中から選んでいく仕組みになっているのに対して、VL系は画像を解釈して自然文として出力していくという方式です。Qwen3はその能力を持つ最新のLLMの一つです。
ComfyUIにWD14タガー(上)と、QwenVL(下)を組み込んだ状態。画像を解釈して、タグ化したり、自然文を生み出したりできる。これをプロンプトとすることで、そのまま画像生成をすることができる。上が、生成されたDanbooruタグ
Animaは、Qwen3のような自然文を理解する最新のアーキテクチャを選んでいるにもかかわらず、なぜ、Danbooruタグというレガシー技術を使ったのでしょうか。筆者の推測になりますが、市場の互換性を担保したいからではないかと考えます。
アニメ系は属性が明快なためタグ形式との相性が良いこともあり、Danbooruタグ文化が強い傾向があります。また、オートタガーなど、SDXLからの資産も多数存在します。LoRAといった追加データにはSDXLとの互換性がありませんが、Anima用に作り直すにしても、データセットをそのまま転用できるため容易とも言えます。

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