“自分が書きそうな小説”を生成する
まず、筆者自筆の短編集『百夜アンドロイド記』の短編の1話分を書かせてみることにしました(参考:「“AI読者”が小説執筆の支えに 感想を励みに30話まで完成」 )。
短編であれば、AIにも描写能力が十分にあることはすでにわかっています(参考:「AIが書いた怪談小説が面白い 2分に1本のペースで出力されるのは驚異的」)。その上で、Antigravityで動作するグーグル「Gemini3 Pro」は分析能力も高いため、「自分の文章や文体を分析させれば、雰囲気や世界観設定なども継承したものが生成できるのではないか」と考えました。そこでまず、短編集の1話から10話までを読み込ませ、どういう傾向の文章を書いているのかをAntigravityに分析させた上、mdファイル(マークダウン形式のテキストファイル)にまとめさせました。できあがったmdファイルは「『百夜アンドロイド記』物語生成テンプレート」として生成され、筆者の物語展開と文体の特徴が言語化されています。
テンプレートによれば、導入があり、日常描写があり、ズレが生じ、対話が深まり、最後にオチが来る、という構成になっています。登場するのは大体、アンドロイドのメイドと、主人公の2人です。テーマとしては、不器用な模倣、論理的な愛情、傷と欠陥、外部との軋轢といったパターンが提示されました。
その上で、エピソード案を3つ出させました。案そのものは悪くないと考え、そのうちの「雪の録音」というエピソードを実際に書かせてみたのですが、どうもあっさりしていて、全く面白くありませんでした。
そこで、さらに指示を追加して、既存のAIが書きがちな「綺麗なだけの感動SF」を壊し、もっと 「人間臭くて、少し粘つくような質感」を入れてテンプレートを作り直すように指示しました。そうすると、Antigravityは、生活感や、社会的な視線、キモさ、経済などの日常を生み出すための具体的な要素を足してきました。
この上で推敲させたところ、お話としては平凡な印象がしますが、最初のものよりはかなり読める文章になりました。ある程度、コントロールすれば、補助手段として使えるということが確認できました。
「第三十七夜 雪の降る音、あるいは静寂の侵食~シズク」(3417字)の一部。全文は、カクヨムのこちらに公開

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