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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第862回

「ビル100階建て相当」の超難工事! DRAM微細化が限界を超え前人未到の垂直化へ突入

2026年02月09日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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低消費電力のIGZOから、積層化のVSDRAMへ
DRAMがたどり着く3D化の最終回答

 VCTに関してはもう1つ、トランジスタをIGZO(In-Ga-Zn-O)ベースのものに置き換えたIGZO DRAMの提案もなされている。2024年のIEDMで、KioxiaとNanyaが共同で開発したOCTRAMもその一例である。メリットはリーク電流の小ささで、Ioff(トランジスタオフ時の電流)がシリコンベースの現在のトランジスタと比べて劇的に減り、リフレッシュ頻度を1万分の1にできる(つまり長時間データを保持できる)点が大きなメリットとされる。

IGZO DRAM。ちなみにKioxia/NanyaのOCTRAMの場合ではIoffは10-18A、リフレッシュ頻度は1000分の1以下の100秒以上とされていた。このあたりは実装によって多少差がある

 IGZOベースのDRAMは複数の実装例がすでに発表されているほか、2020年にはベルギーimecが2T0C(IGZOトランジスタ×2だけで構成され、キャパシタがない)構造のDRAMを発表するなど、今すぐ実現できるかはともかく、近い将来のDRAM用に有望視されている。

IGZOを利用したVCTの動作状況。これはSamsungで試作されたものと思われる

 もう1つのアイディアがVSDRAMである。これ以上の微細化は無理なので、3D積層することで容量を稼ごうという、これも3D NANDフラッシュと同じ発想である。まだ多値化(SLC→MLC→TLC→QLC→PLC)に関しては研究段階で今のところ実装には至っていないが、将来的にはVSDRAMに組み合わせられる可能性がある。

VSDRAM。HBMも3D積層の一例ではあるのだが高コストである。3D NANDと同じく、もっと廉価に3D 積層を実現しようというのがVSDRAMだ

 話を戻すと、VSDRAMの作り方はこれも3D NANDフラッシュに似ている。DRAMセルの構造を横倒しにして積む格好である。この方式なら無理に微細化を進める必要がないので、各層の製造は比較的簡単である。このあたりも3D NANDフラッシュに似ている。

ここではGAAを使うことになっているが、別にGAAが必須というわけではない。実際2023年のVLSI SymposiumでSamsungが発表したVSDRAMはプレナー型のトランジスタが前提だった

 製造方法も結構似ており、まずセル・アレイ・ブロックをまとめて製造し、最後に周辺回路と合体させて完了。もちろん従来の通常のDRAMに比べれば作業工程はだいぶ増えるが、それでもHBMに比べればはるかに低コストで実現できるめどが立っているとする。

というかこれは3D NANDフラッシュの製造の経験がかなり生かされた結果だろう。NanyaやWinBondなどの3D NANDフラッシュを手掛けていないメモリーメーカーがこれを実行するのは結構敷居が高そうである

 結論としては、短期的にはVCTが次の世代以降でくるが(そこにIGZOが入るかどうかはメーカー次第)、その先はVSDRAMになる、というのが基本的な方向性になりそうという見通しであった。

Advanced Stack世代はまだ見通せていないが、3D NANDフラッシュが300層を超えている現状を考えると、当然さらなる多層化の要求が出てくると考えられる。その時期には、多値化も視野に入るのかもしれない

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