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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第141回

AIエージェントにお金を払えば、誰でもゲームを作れてしまうという衝撃の事実 開発者の仕事はどうなる?

2026年01月26日 07時00分更新

文● 新清士

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AIがモックを作り、人間が完成させる

 あらためて驚かされるのは、ManusやAntigravityといったAIエージェントを使うことで、さらにバイブコーディングの難易度が下がったと感じられることです。筆者はプログラミングがほとんどできません。しかし、そうであっても、ゲームを作ることができるのです。AIの協力なしでも、筆者が作ることは不可能ではないでしょうが、数ヵ月かかるであろうことは容易に想像がつきます。

 もちろん、今回のモックがそれ単体で面白いと呼べる水準にはほど遠いものです。しかし、ここまで動くモノを実際に触ることで、早い段階からシナリオや演出を面白くするための工夫について、次々に新しいアイデアを思いつき、練り込んでいくことができるのです。

 「企画したゲームの9割は完成しない」とよく言われます。これは小林(七邊)信重さん(現東北学院大学情報学部教授)が、2009年に同人ゲームの開発者を中心に実施したアンケート調査をまとめた研究から出たものです。類似の調査は存在しないため、現在でも、都市伝説のように言われます。実際、小さなゲームであっても、ゲームを完成させること自体が難しいことを、多くのゲーム開発者は知っています。

 しかし、AIエージェントを使うならば、完成度はともかくゲームを完成させることは不可能ではなくなりつつあります。極端な話、Manusに指示して課金し続ければ、ゲームはできてしまうのです。

 そうなると、一体面白いゲームとは何なのかが、より鋭く問われることになります。AIはまだ、そこまでは応えてはくれません。

 

筆者紹介:新清士(しんきよし)

1970年生まれ。株式会社AI Frog Interactive代表。デジタルハリウッド大学大学院教授。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲームジャーナリストとして活躍後、VRマルチプレイ剣戟アクションゲーム「ソード・オブ・ガルガンチュア」の開発を主導。現在は、新作のインディゲームの開発をしている。著書に『メタバースビジネス覇権戦争』(NHK出版新書)がある。

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