CES 2026におけるAMDの発表はドリル北村氏の基調講演レポート、コンシューマー向け製品に関する詳細はKTU氏のAMD発表まとめで説明されているので、それ以外の話を紹介したい。
といっても話題としてはHeliosの話と、基調講演で触れられなかったRyzen AI Embeddedの話しかない。今回は基調講演に出てきたHelios絡みの話をもう少し砕いて説明したい。
Heliosの話は851回で紹介しているが、NVIDIAのRubin対抗となるラックベースのソリューションである。実はこの図が間違っていたので、その訂正も含んでの説明である。
幅が従来のラックのほぼ倍に近いHelios
まずHeliosの構成要素であるが、ラックそのものはOCPのDouble-Wide Rack(ORW:Open Rack Wide)を利用する。ORWそのものはMetaが2025年10月に発表したもので、Heliosはこれを利用する最初の製品の1つとなる。幅が従来のラックのほぼ倍近いということで、1本のシャーシのゆとりもかなり大きくなる。
NVIDIAのVera Rubin Compute Trayが、がんばってVera×2+Rubin×4を収めていたのに対し、Heliosのシャーシにはかなりゆとりがあるように見える。このシャーシの中にMI455X×4とVenice、それにVulcano×12、Salina×1が収まる構造だ。なお、Vulcanoは2チップで1枚分のカードになるようなので、カードとしては6枚分となる。
ここからわかるのは、シャーシ間のScale-up Networkはおそらくインフィニティ・ファブリックではなくUAL(Ultra Accelerator Link)を使い、シャーシあたり800G×6が出ることと、ラック間のScale-out Networkには400Gイーサネットがシャーシあたり1本出ること。
基調講演で公開されたHeliosの実機。以前の記事でInfinityFabric Switch×9と書いたが、どう見ても6本しかスイッチがない。NVL72の構成に引っ張られすぎでつい9本と書いてしまった
そしてPensando VulcanoはPCIeとUALのI/Fしか持たないので、NVIDIAのNVLinkと異なり、直接MI455Xに接続できないように思われる。可能性がゼロではないが、Vulcanoの数とMI455Xの数が一致していないので、FrontierのようにMI250Xから直接Slingshot-11のI/Fに接続する構図ではないと考えられる。
したがってMI455XはVeniceとインフィニティ・ファブリックで接続され、VeniceとVolcano×6がPCIe Gen6 x16でつながっていると予測される。同様に、SalinaもVeniceに接続されているものと考えられる。 というあたりだ。
このScale-upにはUALを使うという推定にはもう1つ根拠がある。HPEの2025年12月2日のリリースによれば「AIの学習と推論性能を強化するために専用設計されたHPE Juniper Networkingのハードウェアとソフトウェア、BroadcomのTomahawk 6ネットワークチップを活用し、オープン規格UALoE(UAL over Ethernet)をベースに構築される」と明記されており、Heliosに含まれるScale-up SwitchはHPE Juniperが開発したUALベースのものであることが明らかであるからだ。
そのUALoEだが、UALは200GBASE-KR1/CR1・400GBASE-KR2/CR2・800GBASE-KR4/CR4という銅配線を利用した200Gbpsのイーサネット規格の物理層を利用して実装される仕様なので、標準状態でUALはイーサネット上に載っている。

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