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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第137回

画像生成AI「Nano Banana Pro」で判明した“ストーリーボード革命”

2025年12月22日 07時00分更新

文● 新清士

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 グーグルの「Nano Banana Pro」を使った技法の開発はその後も続いています。特に話題になっているのが、画面分割からストーリーボードを制作するという方法です。Nano Banana Proは、1つの画像から様々なカメラワークを生み出したり、前後のストーリーを考え、時間経過を伴った画像も生み出せることが発見されたことで、より複雑な使い方が試されつつあります。

※記事配信先の設定によっては図版や動画等が正しく表示されないことがあります。その場合はASCII.jpをご覧ください

カメラワークからストーリー展開が可能に

 まず、TechHalla(テックハラ)さんが発見したストーリーボード手法なのですが、有名な写真をベースにしてカメラワークを指定するだけで、あらゆるアングルからのカットが生成できます。また、カットを生成するだけでなく、前後のストーリーも生成できるということを発見したのです。

 プロンプトは、画像が何を写しているのか、雰囲気なども含めて把握するようにさせ、10~20秒あまりの展開としてまとめさせるようにしています。そして、それぞれのシーン(キーフレーム)として、基本は9枚のグリッドとして表示します。すると、同じ登場人物や状況が維持されたまま、違った角度やカメラワーク、僅かに進んだ展開が表示されるようになるのです。1枚の画像のなかに、登場人物などの一貫性を維持しつつ、本来存在していないはずの一定のストーリーが、様々なカメラワークと共に作り出されるのは、不思議な感覚です。

 テスト的に作成された画像には、有名なマンハッタンのビルの建設中の労働者の昼食の写真、トランプ大統領への銃撃事件といったものがあり、それも一貫性を維持しているのがわかります。(TechHallaさんのプロンプトは非常に長いため、この記事の末尾に参考訳として掲載しています。日本語でもNano Banana Proで機能します)

△TechHallaさんが開発したプロンプトを使って作成された画像例

 筆者は、過去に作成した画像を利用して、そのプロンプトで生成してみました。前回のNano Banana Proを紹介した記事(実在感が恐ろしいレベル 画像生成AIの常識をひっくり返した「Nano Banana Pro」)で作成した本連載のモデルの明日来子さんの作例を使って、生成した結果が次のようになります。各キーフレームの様子や、参照画像からの秒数(目安程度に)、どのようなカメラワークで撮影されたかという情報が追記されています。

 明日来子さんと猫の画像は、猫を抱き上げる状態から、抱きしめている推移が表現されています。舞踏会の画像では、明日来子さんの男性パートナーを得て注目を得ている展開が読めます。一方で、渋谷の戦闘シーンはあまり大きな変化がない画像にとどまっています。生成にも何度も失敗したので、あまりに要素が多すぎる画像ではうまくいかない傾向はありそうです。

ストーリーボード手法で、明日来子さんを使って猫を抱きしめている画像を参考にして生成した画像

ストーリーボード手法で、舞踏会でダンスを踊っている画像から生成した画像

ストーリーボード手法で、渋谷での戦闘シーンの画像から生成した画像

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