規制の“ギリギリ”を攻める姿勢が賛否両論
良くも悪くもGrokの特徴としては、アダルト画像への規制の甘さがあります。リリース直後は、相当直接的な性表現まで描写できたので、多くの人を驚かせました。しかし、現在では、直接的な性表現には制限がかかるようになっています。それでも、他の画像AIや動画AIよりは、生成が認められる制限が緩いようです。
画像はお見せできませんが、たとえば“トップレスの日本人女性”を指定すると、次から次へと画像が出てきます。そこから動画生成ボタンを押すと動画になります。そうでなくとも、Grokで生成した画像で、普通に動画生成すると、特に指定をしていないのに服を脱ぐ動画が生成されたりすることもあります。ただ、あえてポジティブに見た場合には、過剰な規制が少ないことで、表現できる能力の幅が広いとも言えます。
Grok Imagineの強みは、圧倒的に簡単に利用できるにも関わらず、現状のバージョンでもかなり品質が高いという点にあります。Xに統合されていることで、作成からSNS投稿までをすべてを実現できる強さもあります。Sora2のような革新的なカット表現というものがあるわけではありませんが、画像・動画AIとも、他社のサービスと比べても使いやすいと言えるでしょう。また、利用料も比較的安く、今後、機能が充実するにつれて、有力な画像・動画AIサービスとして広がっていく可能性があります。
一方で、マスク氏はかなり過激な表現の自由論者として知られていますが、運営方針には、その考え方が強く反映されているようにも思えます。サービス開始当初は、過激な表現も認めることで話題を作り、社会的に問題になり始めると、様子を見ながら制限を掛けるという方法です。(参考:「“18禁”美少女AI「Ani」は孤独を癒すか、深めるか?)
最近のxAIが取るいつもの戦略を推し進めているように見えます。ギリギリを攻めるという戦略は、今後も賛否両論を呼ぶでしょう。

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