新清士の「メタバース・プレゼンス」 第130回
グーグルNano Banana級に便利 無料で使える画像生成AI「Qwen-Image-Edit-2509」の実力
2025年11月03日 07時00分更新
画像生成AIでの一貫性のある表現を巡る各社の競争が激しくなる中、9月に公開されたアリババの画像生成AI「Qwen-Image-Edit-2509」の性能が注目されています。グーグルの「Nano Banana(Gemini 2.5 Flash Image)」の競合モデルです。オープンモデルなので、ローカルPC上でも動作可能というのが最大の利点です。特定の人物の服や小物を総入れ替えしたり、人物の背景やポーズを入れ替えたりと、様々なことができます。
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アリババの最新画像生成モデル
「Qwen-Image-Edit-2509」は、アリババが展開する画像生成AI「Qwen Image」シリーズの1つです。8月に「Qwen-Image-Edit」をリリースしたばかりでしたが、3枚までの複数枚の画像入力や、ControlNetにも対応するなど、機能を大幅に強化したアップデート版として登場しました。人物、アイテム、背景を一度に扱えるため、活用の幅が一気に広がりました。
オープンモデルのため、アプリ環境の「ComfyUI」に読み込みローカルでも動かせます。テンプレートに追加されており、高速化のための環境も組み込まれているため、動作させるまでは迷うこともなく簡単です。安定動作にはVRAM 16GBを搭載する環境が必要ですが、量子化(軽量化)されたバージョンを使うと、VRAM 8~12GBでも動作します。一回目のモデルのロードには非常に時間がかかりますが、一度読み込んでしまえばNVIDIA RTX 4090の環境で、生成時間は1枚当たり20~30秒程度です。
参照画像を3枚まで組み込むと以下のようなことができます。1枚目の人物(左)に、2枚目の服装(右上)、小物のバッグ(右下)を参照させることで、服装を着ている状態の画像を手軽に作ることができるのです。人物の顔や体形、髪形など、すべての一貫性を維持したまま、完成画像を作り出すことができています。こうしたアパレル画像への応用は、一貫性の実現で期待されるものの重要なものの1つでした。
この連載の作例モデル「明日来子さん」に“秋服コーデ”をした状態。服とバッグはMidjourneyで作成。プロンプトは「1枚目の人物に、2枚目の服装を、3枚目のカバンを肩に持たせて、ジーンズなし、笑顔」
性能の高さをわかりやすく理解できるのが、キャラクターの四面図を自動作成できるアプリ「Qwen-Image-2509-CharacterSheet」です。エンジニアのとりにくさんがHuggingFaceの「Space」機能で無料公開しています。アプリでは、全身像の画像1枚から、ほぼ完璧な四面図を作ることができます。アニメ風でも、実写風でも、そのどちらでも問題なく描写できます。
これまで四面図の作成には専用のLoRAを使うのが一般的でしたが、それをQwen-Image-Edit-2509の能力だけで実現しているそうです。もちろん、ComfyUI上でプロンプトを設定すれば、ローカル環境でも同じことができます。

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