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活動第一弾として、“業界の定義書”である「デジタルテスト白書」を公開

民間検定から国家資格まで“いつでもどこでも”試験が受けられる国に 「デジタルテスト推進協会」が始動

2025年10月27日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 社会全体でデジタル化が進む中で、「試験・講習」領域にも変革の波が押し寄せている。民間検定から国家資格に至るまで、試験の実施や手続きをデジタル化する流れが加速する一方で、安全性や公平性をどう担保するかなど新たな課題も顕在化している。

 こうした課題を一社、一団体ではなく、業界全体で乗り越える仕組みを作るべく、2025年7月に一般社団法人「デジタルテスト推進協会(DiTA)」が立ち上がった。そして、10月24日には、業界関係者を集めた設立記念セミナーが開催された。

 本記事では、同イベントで語られた、協会設立の経緯や、業界の現状を明らかにする「デジタルテスト白書」の内容、そして、ゲスト登壇した文部科学省とデジタル庁の取り組みについて紹介する。

 デジタルテスト推進協会の理事長を務める佐藤信也氏は、「デジタルテストの推進は単なるシステムの置き換えではない。それは試験の公平性、利便性、信頼性を新たな次元に引き上げるための社会インフラづくりである」と語った。

(左から)デジタルテスト推進協会 副理事長 永井聡一郎氏、デジタル庁 国家資格デジタル化 担当リーダー 前田剛植氏、デジタルテスト推進協会 理事長 佐藤信也氏、文部科学省 大臣官房 審議官 橋爪淳氏、電気通信大学大学院情報理工学研究科 教授 植野真臣氏

コロナ禍で高まった「CBT化の機運」の受け皿に

 日本におけるデジタルテストの歴史は、2000年頃にまでさかのぼる。パソコンで試験をする「CBT(Computer Based Testing)」が始まり、会場の備え付けパソコンで受験する「テストセンター方式」や、インターネットで受験する「IBT(Internet Based Testing)方式」が広がっていった。

 加えて、2010年頃からは主に企業内で「eラーニングシステム」も普及。ただ、これらは一部の企業・検定団体にとどまり、業界全体への定着には至らなかったという。「我々の試算では、デジタル化していた割合は(テスト全体の)2割程度。8割がアナログなままだった」(佐藤氏)

デジタルテスト推進協会 理事長 佐藤信也氏

 転機となったのがコロナ禍だ。「紙を利用した会場型での実施が難しくなり、別の方法を模索する中で、CBT化を検討する流れが生まれた」と佐藤氏。さらに、リモートワークが普及することで、自宅での仕事や勉強が常態化したことも後押しとなる。

 こうした流れを受け、民間資格や企業内の昇進・昇格資格を中心にCBT化が拡大。例えば、TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)では、2020年にオンラインテストとリモート監視の仕組みを導入し、今では約70%の受講者が利用しているという。

 そして、2023年には「デジタル社会」の実現に向けた重点計画が閣議決定しされ、2024年にはデジタル庁が国家資格手続きのデジタル化を開始した。さらには、国家資格のCBT化や法定講習のeラーニング化も検討が進み、2026年には司法試験がCBT化される予定だ。

 一方で業界内では、2025年に集団不正受験や経歴詐称事件が発生し、テクノロジーによって安全性も高められないかが期待され始めた。さらに、各社に「とにかくCBT化したい」という問い合わせが増えるも、「受験生のためになるのか、事務局の効率化につながるのかが忘れられている」(佐藤氏)ケースも増えてきたという。

 こうした状況を受けて、業界全体でスムーズなデジタル化を推進すべく、試験・教育業界のトッププレイヤーが手を組み、「デジタルテスト推進協会」が立ち上がった。

「デジタルテスト推進協会」設立の背景

利便性や効率化に加えて「コンプライアンス文化」の醸成も

 デジタルテスト推進協会の掲げる使命は、「最新のテクノロジーを活用し、試験・講習の受付から実施、採点、認定証発行までを包括的にデジタル化」することだ。佐藤氏は、「試験全体のプロセスをデジタル化していかないと、真の意味でのデジタル化は達成できない」と強調する。

 協会の活動内容は多岐にわたる。

 まずは、後述する年1回の「デジタルテスト白書」の刊行だ。同白書で、業界の現状を明らかにしていくほか、業界向けの提言やガイドラインなども取りまとめていく。さらに2、3か月に一回、勉強会やセミナーを開き、啓蒙活動を展開。アジアで活動するテスト機関「Asia-ATP」とも連携して、海外事例なども紹介する。

協会の事業内容

 協会では、利便性や効率性の面だけではなく、公平性や透明性、倫理性の確保についても研究・啓蒙していく。「デジタル化と同時に、信頼性を構築することで業界の未来を支える基盤になる。協会の設立を出発点に、業界にコンプライアンス文化を根付かせ、透明で健全なデジタルテストの発展に取り組んでいきたい」(佐藤氏)

 具体的な活動としては、デジタル認定証の仕組みを確立してガイドラインを制定していくこと、AI活用による効率化や不正対策につながるテストセキュリティを研究していくことが挙げられた。

 なお、立ち上げメンバーには、以下の企業・団体が名を連ねる。

●イー・コミュニケーションズ
●国際ビジネスコミュニケーション協会
●学研ホールディングス
●プロメトリック
●全国試験運営センター
●EduLab
●ナショナル・コンピュータ・システムズ・ジャパン(ピアソンVUE)
●内田洋行

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