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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第124回

「やりたかった恋愛シミュレーション、AIで作れた」 AIゲームの進化と課題

2025年09月15日 07時00分更新

文● 新清士

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Grokで広がる恋愛アドベンチャーの世界

 X上にも様々なGrokの仕組みを利用した選択式のテキストアドベンチャーが登場しています。sara(鳩)さんが開発した「アズライトの記憶」は、高校2年生の主人公が、夏休みに8年ぶりに故郷の港町に戻り、従姉妹と昔の記憶を思い出しながら、様々なところを訪ねるというゲームです。期間は3日間に限られ、昼夕夜と3ターンに分かれており、その選択によってだんだんとお互いの心の距離が変化していくというものです。よくある恋愛アドベンチャー風のゲームです。

 ストーリーは基本的に決められているものの、AIが自動生成している文章も少なくありません。微妙に変わる関係性などが織り込まれつつ展開していきます。そして、選択肢を選ぶだけでゲームが進み、積み重ねによって3日目最後の別れの際に、3種類のエンディングから、結末が決まってきます。

△sara(鳩)さんのXでの告知

感情を高めていくイベントを通じて二人の距離が近づいていく

重要なイベントが発生する夜の海辺。さあ、どちらを選ぶ?

 Grokを使ったアドベンチャーゲームは、カガミカミ水鏡さんが、2月に「【オープンβ開始】X(Grok3)で動くっぽいチャットゲームの作り方をネチョネチョ分析」 という記事(一部アダルト寄りの内容)を公開して、パラメーター管理をしつつ、テキストゲームをプレイする仕組みを容易に作れることを紹介しました。その後、6月にシトラス(柑橘系)さんが「新人冒険者と7日間のダンジョン」など複数のゲームを発表しています。

 どちらもプロンプトが公開されているので、それを改造したり、構造を真似して設定を変更することによって、オリジナルのゲームが開発できるのです。

 実は、sara(鳩)さんは筆者の大学院ゼミに所属する学生で、これらの発表されたGrokゲームを参考にして、生成AIを使ったアドベンチャーゲームの研究の一環として開発しました。学部生時代には恋愛アドベンチャーゲームの研究をしていたのですが、「これまで自分ではゲームを作れなかったが、Grokがあることで作れるようになった」と話していました。

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