可用性と拡張性、データレジデンシー対応が特徴の「Oracle Distributed Database on Exascale」
オラクル、小規模から手軽に使える分散DBサービスをOCIで提供開始
2025年08月13日 12時30分更新
オラクルは2025年8月7日、グローバル規模の分散データベース(DB)サービス「Oracle Globally Distributed Exadata Database on Exascale Infrastructure(略称:Oracle Distributed Database on Exascale)」を、「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」のすべてのリージョンで一般提供開始(GA)した。
フルマネージド型で提供されるこのサービスは、サーバーレスでExadataのDBサービスを実現する「Exascale」アーキテクチャを基盤として、グローバル規模の分散DBサービスを構築したもの。これにより、小規模アプリケーション/低コストからのスモールスタート、“データ損失ゼロ”で自動フェイルオーバーを行う高い可用性、各国が定めるデータレジデンシー要件(データ主権要件)への効率的な対応が実現するとしている。
オラクルの分散データベース技術の歴史と導入実績
記者向けの説明会では、米オラクル ハイアベイラビリティ・テクノロジー担当SVPのウェイ・フー氏が、Oracle Distributed Database on Exascaleのリリースに至った背景や、サービスの特徴を説明した。
フー氏はまず、オラクルが提供してきた分散DB(Oracle Globally Distributed DB)の歴史や、導入実績を紹介した。
Oracle Database(Oracle DB)ソフトウェアでは、2017年のリリース(Oracle DB 12.2)からDBのシャーディング(単一DBの分割/分散配置技術)機能を導入し、分散データベース処理をサポートしてきた。論理的にはグローバルで単一のDBを保持しながら、物理的なデータの配置やアプリケーションのデータ処理は各国/各地域で行い、低遅延での処理を実現する。
さらに、最新のOracle DB 23aiでは、アクティブ-アクティブ構成のRaftレプリケーション方式にも対応し、データ損失ゼロ、3秒以内での自動フェイルオーバーという高い可用性も実現している。
こうした特徴から、Oracle DBの分散データベースは、オンラインバンキングやクレジットカード処理、大規模なデータ分析、ハイパースケールなアプリケーションなど、幅広い用途で活用されているという。
さらにフー氏は、近年の特徴的な分散DBユースケースとして、「データレジデンシー要件への対応」と「エージェンティックAI(AIエージェント)によるDB活用」を挙げた。
さまざまな国でデータ主権をめぐる法整備が進み、「自国民や自国内取引に関するデータは自国内で保管する」といったデータレジデンシー要件への対応が求められるようになっている。Oracle DBの分散データベースを活用すれば、グローバルで単一の論理DBを保持しながら、こうした要件に対応するデータ配置が実現できる。フー氏は、グローバルに展開する銀行が、インドのデータレジデンシー規制を順守するために活用している事例を紹介した。
米国の大手銀行におけるOracleの分散DB採用事例。インドのデータ主権ルールとして「国内の銀行間取引データはインド国内に保管すること」が定められたため、シャード(分割したDB)をインド国内に配置し、インド国内の取引データはそこで管理している。複雑なアプリケーション層に手を加える必要はなかった
もうひとつの「エージェンティックAIによるDB活用」は、これから急速に拡大が見込まれるユースケースだ。フー氏は「エージェンティックAIのワークロードが増えるにつれて、それに対応するDBシステムの処理負荷が大きくなっている」と指摘する。
エージェンティックAI(AIエージェント)のアプリケーションでは、AIが予測不可能な大量のトランザクションを発生させる可能性がある。さらにベクトルDB、ナレッジグラフといった、さまざまなデータタイプの検索も高速に処理できなければならない。また、ここでもデータレジデンシー要件への対応が求められる。
Oracle DBはマルチデータモデル対応のコンバージドDBであり、23aiでは大規模なRAG/ベクトル検索を航測に実現する「インメモリ型の大規模ベクトルインデックス」機能も追加されている。これは分散DBでも活用可能であり、データレジデンシー要件にも対応できる。












