AWSジャパンが語る2025年度の中堅・中小企業向け事業戦略
中堅・中小企業のクラウド移行が生成AI活用で加速 AWSを使った3社のAI実装例
2025年07月24日 07時00分更新
中堅・中小企業支援における4つの注力分野
AWSジャパンの原田氏からは、中堅・中小企業向けの4つの注力分野と重点施策について披露された。
ひとつ目は、事例も披露された「生成AI」だ。原田氏は、中堅・中小企業が生成AIで得られるビジネス価値として、「生産性」「洞察」「新体験」「創造性」の4つを挙げる。「登壇の企業の事例は、生産性に洞察、新体験というビジネス価値がみえたのではないか」と原田氏。
AWSジャパンは、2024年7月から、生成AIの実用化を支援する日本独自の施策「生成AI実用化推進プログラム」を提供している。これまで200社を超える企業・組織をサポートしてきた中で、その半数近くが中堅・中小企業だという。
2つ目は「マイグレーション・モダナイゼーション」だ。「生成AI活用が進む今こそ、クラウドへのマイグレーション・モダナイゼーションが重要となる。クラウド移行することで、生成AIの効果が最大化される」と原田氏。一方で、経済産業省の2025年5月発行のレポートでは、ユーザー企業の61%が、いまだレガシーシステムを保有しているという状況だ。
AWSジャパンでは、2025年5月より、レガシーからのAWSへの移行とモダナイゼーションを支援するエージェント型AIサービス「AWS Transform」を提供開始。「AWS移行とマイグレーションコンピテンシーパートナー」も、2024年より3社増やしており、クラウド移行をサポートするソリューションやエコシステムを拡充している。
3つ目は、「デジタル人材の育成」だ。総務省の2023年調査では、米国、ドイツ、中国と比べて日本企業の内製化率は約半分と、デジタル人材不足が顕著な状況だ。
AWSジャパンは、500以上のトレーニングコースを無料で受講可能な学習基盤「AWS Skill Builder」を展開しており、うち150以上はAI関連となっている。「Skill Builderを通してトレーニングの民主化を全国津々浦々に広げていきたい」と原田氏。
また、2025年7月には、生成AIによる仮想顧客とのチャットを通じて、実践的なソリューション構築を学べる「AWS SimuLearn」も公開している。
最後に、「地域創生」だ。ここまでの「生成AI」「マイグレーション・モダナイゼーション」「デジタル人材の育成」の支援策を全国に広げ、地域によるデジタル格差を埋めていく。それには、パートナーの協力なしでは成し遂げられないという。
パートナーとの連携を深めるために、AWSジャパンの営業マネージャーが、パートナーの営業チームを直接トレーニングする新たな取り組みを実施。「中堅・中小企業(SMB)向けコンピテンシーパートナー」であるクラスメソッド、サーバーワークス、GMOとの連携も強化していく予定だ。
原田氏は、「今後も、広域事業統括本部が中心となり、中堅・中小企業の成長をクラウドと生成AIによってサポートしていく。日本経済を強固にしていくためには、中小企業、特に地域の中小企業の活性化が切っても切れない」と締めくくった。












