基幹システムのモダナイゼーションもさらに加速へ、日本オラクルの新年度事業戦略説明会
“エージェンティックAI時代”に耐えうるデータ基盤とは? 日本オラクル・三澤社長が語る
2025年07月10日 08時00分更新
「エージェンティックAI向けのデータプラットフォーム」の重要性を強調
FY26の重点施策として、もうひとつフォーカスしたのが「AI」領域だ。従来の静的な「プロセス自動化」から、動的な自律的実行を実現する「エージェンティックAI」への進化が見込まれる中で、三澤氏が特に強調したのが「データプラットフォームの重要性」である。
三澤氏は、エージェンティックAI時代には、アプリケーションの構造にパラダイムシフトが起こると説明する。従来のアプリケーションは、UIの裏側にハードコードされた複雑なビジネスロジックがあり、それがデータベースへのトランザクションを発生させていた。この構造の場合、トランザクションの規模は事前に予測しやすかった。
これがエージェンティックAI時代になると、ビジネスロジックに代わってAIエージェント群が連携しながら、複雑なタスクを実行するようになる。そのとき、個々のAIエージェントがデータベースにアクセスするため、予測不可能な大量トランザクションが発生する。加えて、ドキュメントや画像(非構造化データ)、ベクトルデータベース、ナレッジグラフといった、さまざまなデータタイプのデータへのアクセスも必要となる。
三澤氏は、こうしたエージェンティックAI時代のパラダイムシフトに対応するためには“AI Readyなデータプラットフォーム”が必要だと説く。具体的には、マルチモーダルデータの統合管理、マルチLLMへの対応、詳細レベルのアクセス制御を含む高度なセキュリティ、そして大量トランザクションを処理できるパフォーマンスとスケーラビリティといった要件が考えられるという。
「AIをシンプルにサポートするための、エージェンティックAI用のデータプラットフォームが、間違いなく必要になってくる。そうしたデータプラットフォームとして、オラクルのフラッグシップ製品である『Autonomous Database』はどんどん進化してきている」
三澤氏はもうひとつ、AIがデータを活用するうえでは「データのコンテキスト」も重要だと強調した。データそのものに加えて、データの“意味”を表すコンテキストを合わせてAIに渡すことで、AIはデータを活用しやすくなる。
この点において、Fusion Cloud Applicationsには優位性があるという。さまざまな業務アプリケーションのデータをシングルデータモデル化し、データとコンテキストを一元管理しているためだ。
「一般的なERPでは、各業務アプリケーションのデータを外付けのAI用データストアにコピーし、そこでAI処理を行っている。しかし、データストアにはデータそのものしかコピーされておらず、AIが非常に使いづらい」「Fusion Cloudの場合は、データとコンテキストをAIに学習させることで、アプリケーションを発展させていける」











