AWS Summit Japan 2025セッションレポート
プライムデーの荷物はどう届く? Amazonが物流現場の「6つのAI活用」を披露
2025年07月10日 11時30分更新
Amazon Roboticsはついに棚入れ・棚出しまで自動化
3つ目は、「Amazon Robotics」だ。商品棚の下にロボットが潜り込み、自動制御で棚を持ち上げ、倉庫内を自動走行する倉庫システムである。Amazonがグローバルで活用しており、日本では2017年に川崎の物流拠点に導入。渡辺氏は、「作業者の歩行が減って、働きやすい職場を生み出している。さらに、倉庫の保管効率化も高まり、より多くの品揃えを提供できる。もちろんロボットであるため、より迅速な配送サービスにもつながる」と語る。
同システムは、棚入れから保管、棚出しまでを自動化することを目標に日々進化している。今回は2つの新機能が紹介された。
ひとつが、「Intent Detection System(IDS)」。Vision(画像認識のAI/ML)とDeep Learning(DL)を活用して、商品を棚入れする手の動きや商品が収納されたスロットをトラック。商品のロケーションを自動確定する機能だ。棚入れ作業者が、ハンディスキャナーを持つ必要がなくなり、在庫の保管精度も高まる。
もうひとつが、「Visual Bin Inspection(VBI)」だ。VisionとMLを活用して、システム上の在庫情報と画像から得られる情報を突き合わせて、在庫の過不足を自動検出する機能である。これも、在庫保管精度を支える技術だ。
4つ目は、Amazon Roboticsで開発中の「Vulcan」。これまで人が担っていた棚入れ・棚出し作業を自動化するロボットである。Amazonでは、さまざまな形状、素材の商品を取り扱うため、手の感覚を持たないロボットによるハンドリングには高いハードルが存在していた。
Vulcanは、力学センサーを搭載することで、この課題を解決。さらに“目”にあたるVisionの技術を組み合わせて、棚の空きスペースや在庫の保管状態も確認できる。「Amazon Roboticsは、データや力学的AIを適用することで、成功と失敗を繰り返しながら学んでいく。人にしかできなかった仕事が、テクノロジーとの組み合わせで自動化できる。そんな時代が見えている」(渡辺氏)

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