JRA(日本中央競馬会)はOpenShift導入事例を披露、公式サイトへのアクセス急増に対処
レッドハット「未来の技術を“無理せず”使えるプラットフォームに」 2025年の事業方針
2025年07月03日 08時00分更新
JRA:“5000万ページビュー”でも動じない公式サイトのコンテナ化
ここからは、レッドハットのプラットフォームで新技術を取り入れた2社の事例を紹介する。まずは、日本中央競馬会(JRA)だ。JRAでは、公式ウェブサイトのアプリケーションプラットフォームに「RedHat OpenShift Platform」を導入している。
もともと、JRAの公式ウェブサイトは、仮想化技術を用いた同社の統合IT基盤のひとつとして稼働していた。しかし近年、スマホで容易にアクセスができる環境が整い、ネット上でも馬券が購入できるようになったことで、アクセス数が急増。2024年の有馬記念開催日には「1日5000万ページビュー」を記録したという。1日の内でも、レース直後にアクセスが跳ね上がるのも特徴だ。
こうした一時的なアクセス増にインフラリソースを最適化させるべく、コンテナ化を検討。環境の差異に伴う作業や不具合を削減して、脆弱性対応を迅速化することも狙いとなっている。
コンテナ化による効果としては、環境ごとの作業がなくなることで、本番リリースが5時間から1時間に短縮、脆弱性対応の頻度も6か月から2か月に減少した。そして何より、主要なG1レース開催日においても、安定したサービス提供を実現している。
JRAの情報システム部 統合情報システム課 尾崎準一氏は、「今後もレッドハットと連携しながら、安定稼働を続け、お客様に喜んでもらえるウェブサイトを提供していきたい」と語った。
日興システムソリューションズ:コンテナ化で開発効率化と運用最適化の両立を
続いては、日興証券のICTを担う日興システムソリューションズ(NKSOL)における、「Red Hat OpenShift Container Platform」の採用事例だ。同社は「開発効率化と運用最適化の両立」を目指すべく、コンテナ技術としてOpen Shiftを選択した。
NKSOLでは、四半世紀運用するシステムも残存するなど、モノリシックで複雑なアプリケーション構造が要因で、開発サイクルは長期化し、コストも増大。また、昨今のサイバーリスクの増大によって、いかに迅速にパッチ適用できるかが命題となっていた。これらの解消のために、OpenShiftを採用している。
現在、3つのフェーズで、コンテナ活用を高度化するロードマップを描く。2025年度には、対象システムの本番リリースを一部展開し、自動化・自律化によるTOC削減や安定稼働に着手する予定だ。あわせて脱VMwareも計画しており、移行の選択肢のひとつとして、OpenShiftによるワークロードのコンテナ化やOpenShift Virtualizationの活用を検討している。
NKSOLの基盤システム担当 執行役員 三田徹氏は、「コンテナ基盤は、証券系のシステムということで堅牢であることを最重視している。信頼性を担保しつつ、開発効率を最大化することがポイント」と説明。加えて、「オープンソースはユーザー同士の情報交換が大きなメリット。オープンソースで社会全体をより良くする。その一翼を担っていきたい」と述べた。












