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Backlog 20周年企画 チームワークとマネジメントを語り合う

Backlog20周年記念対談 経営者から見たチーム作りとは?

チーム作りの苦労を語ったサイボウズ青野氏とヌーラボ橋本氏の対談が本音過ぎた

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●永山亘

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 多くの経営者やマネージャーが悩む「チーム作り」について、サイボウズ代表取締役社長の青野慶久氏とヌーラボ代表取締役CEOの橋本正徳氏が語り合った。チームワークのために開発されたkintoneとBacklogのコンセプト、チームワーク構築の失敗談や苦労話、「SaaS is dead時代」のマネジメント、そして20周年を迎えたBacklogとチームワークマネジメントの重要性などについて語り尽くした対談を1万字超えのボリュームでお届けする。(以下、敬称略 インタビュアー ASCII編集部 大谷イビサ)

原点はPostPet 立ち上げ時のBacklogについて青野社長が聞く

大谷:本日はよろしくお願いいたします。今回はBacklogが20周年を迎えたということで(関連記事:Backlogが“20周年”!プロジェクト管理の歩みとチームワークの未来を示す「特設サイト」)、同じチームワークを重視する会社として対談を設けたのですが、お二人はすでに面識あるんですか?

橋本:僕は上場や資金調達しようとしたときに、青野さんにご相談させていただいたんですよね。そのとき、いろいろな視点をいただけたのが大きくて。それで思い切って、上場に挑戦してみようと決めました。

青野:あと、海外に進出しているソフトウェア企業の社長の対談イベントに、僕と橋本さん、あとChatwork(現Kubell)の山本正喜さんとで参加したことがあります。

国内市場で会計ソフトをやっている会社ではなく、グローバルで汎用的なチームワークソフトをやっている会社ということで、僕の中ではヌーラボさんは近い会社という感覚があります。ある意味、外資と戦っていかなければならないところも同じです。

大谷:お二人の起業の背景から聞きましょう。

青野:僕はすごく普通だと思っています。普通に大学を卒業して、大企業に入って、その経験を活かして起業するという。

サイボウズ 代表取締役社長 青野慶久氏

でも、橋本さんって確かアートの人じゃないですか。演劇をやっていて、その後プログラマーになって、そこから自然な流れで起業されたんですよね。結果的にBacklogの会社、kintoneの会社ということで近いところにいるんですけど、橋本さんの経緯はこれまでの僕からすると、とてもユニーク。だからBacklogというチームワークのソフトを提供するに至るまでの思考経路を聞いてみたかったんです。

橋本:確かに、あらためて言われるとユニークかもしれませんね(笑)。僕にとってチームワークのソフトの原点は、実はPostPetなんですよ。

青野:モモちゃん!

橋本:はい。ああいう“おもちゃみたいなソフト”で、楽しくてついメール送り合っちゃう。当時は仲間と一緒に音楽を作っていたので、PostPetでデータを送り合っていました。作っていたのがテクノミュージックだったので、キックを送ると、スネアが戻ってくるみたいな感じ。そういう体験があったので、「ツールって楽しくないと使われない」と思っていました。「使いたくなるためには、ピンクのクマちゃんくらいの魅力が必要だな」というシンプルな考えです。

「気持ちよく、楽しく働くためのツール」は共通している

青野:なぜBacklogを作ったんですか?

橋本:もともとは僕と一緒に起業した元取締役と、プログラマーの派遣業務をしていたんです。通常、派遣業務ってプロジェクトが終わると解散してしまいますよね。ただ、自分で言うのもなんですが、そこそこ腕のいいプログラマーだったようで(笑)、そこのマネージャーが「手放したくない」と言ってくれて。

ヌーラボ代表取締役CEO 橋本正徳氏

それで、プロジェクトが終了後に、社内用のバグトラッキングツールを作ってほしいと頼まれたんです。そこで作ったのがBacklogの原型にあたるソフトですね。

その後、OSSとして公開してみたり、ヌーラボを設立して開発を進めて、できたのがBacklog。いわば、「3度目の正直」なんですよ。

青野:なるほど。

橋本:実際、Backlogそのものは僕ではなく、元取締役や当時のメンバーが作ったのですが、「これをビジネスにしよう」と思ったのは、やっぱり楽しいツールを目指していたから。だから、「いいぞいいぞ、もっとやれ!」という感じでした。

青野:当初から有償版で販売する前提だったんですか?

橋本:最初は「売ってみようかな」くらいの気持ちでした。でも、まずは仲間に使ってもらってみたら、評価も高くて。その後、無償版を出したら、思いのほか多くの方が使ってくれたんです。だから、無償版をリリースした1年後に有償版の公開に至っています。

青野:となると、やはり「使って楽しいツール」みたいなものが製品の核としてあって、仲間といっしょに働くためのツールとしてBacklogがあると。

橋本:そうですね。仲間といっしょに楽しく仕事するには、ツール自体も楽しくなければ、と思っていました。

青野:すごくユニークですよね。

大谷:でも、私から見れば青野さんも、サイボウズさんも相当ユニークですよ。最初にサイボウズ Officeが出た時って、マイクロソフトとか、ロータスとか、高価で大企業向けのものばかりでした。そこに、中小企業でも使える手ごろな価格のグループウェアを出したわけだから、大きなインパクトでした。

青野:橋本さんと違うところって、僕はアートの素養がないので、感情的に訴えるものは作れないんですよ。その分、合理性にはこだわりがあって、「これって無駄じゃないか」とか、「価格が高すぎやしないか」みたいな理不尽さとは戦ってきたつもりです。

あと、ITの裾野というか、現場で困っている方たちのことは見過ごせなくて、一般的なソフトウェア企業が追いかけないところまで追いかけていきたい欲求が強いです。立場やアプローチは違っても 「みんなで気持ちよく、楽しく働くためツールを作りたい」という想いは共通しています。

橋本:そこは本当にそうですね。

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